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第28回フェアリーS(9日、中山11R、GIII、3歳、牝馬、芝1600メートル、1着賞金3400万円=出走16頭)400メートル延びて1600メートルになった2009年以降、重要性を増した一戦は、3番人気トーセンベニザクラが13着まで0秒5、約2馬身圏内という大接戦を制して重賞初制覇を遂げた。クビ差2着が14番人気マイネエポナ。1番人気オメガハートランドは4着。2番人気パストフォリアは大きく出遅れ、最下位16着と惨敗した。
冬晴れの中山で“紅桜”が華麗に舞った。3番人気トーセンベニザクラが直線坂下から鋭い瞬発力を発揮し、ゴール前の大接戦を制し、デビュー8戦目で待望の重賞獲りに成功。勢いに乗っている新種牡馬ダイワメジャー産駒としてエピセアローム(11年GIII小倉2歳S)に次ぐ2頭目のGウイナーとなった。
「タメればいい脚を使うのはわかっていたし、直線でも手応えは抜群。あとは前が開く所を探すだけ。抜け出す時の瞬発力はすごかった」
絶妙な手綱さばきで、Vに導いた津村明秀騎手の笑顔が弾ける。5日に26歳の誕生日を迎え、今年初勝利が重賞制覇。JRA重賞は10年エルムS(クリールパッション)以来となる5勝目となった。
レースはラミアプリマベーラの逃げで始まり、ベニザクラは中団馬群に入って折り合いに専念し、4コーナー手前で他馬が仕掛けても津村はあせらずジッと我慢。直線では一瞬、前が狭くなるシーンもあったが、アイスフォーリスとラシンティランテの間にスペースを見つけると一気にスパート。持ち前の切れ味を十分に発揮し、ライバルたちを豪快に差し切った。
「赤松賞(2走前)を勝った時も乗せてもらいましたが、だいぶ精神的にも落ち着いているし、まだまだ伸びしろも十分ある。これで賞金も加算できたので春が楽しみですね」と津村は桜花賞(4月8日、阪神、GI、芝1600メートル)へ夢を馳せる。
「ジョッキーには“紙一重(のメンバー)、うまく乗った者が勝つ”と話していたんだ。前走(阪神JF10着)はGIにしてもラスト1ハロンが物足りなかった。大事にしすぎたのかな。だから、中間は体を緩めずにしっかりとやって体が減ってなかったのも良かった。ただ、今年の牝馬は強い馬が多すぎるよ」と笑う柴崎勇調教師(62)は06年アポロティアラ以来となるフェアリーS2勝目。2歳女王ジョワドヴィーヴルと再戦するためにも、今回は負けられない一戦だった。
今後は千葉県香取市のエスティホースパークで疲れを癒してから桜花賞路線へ。ソメイヨシノが満開の阪神の舞台で、さらなる高みを目指す。 (片岡良典)
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