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第52回宝塚記念(26日、阪神11R、GI、3歳上オープン、芝2200メートル、1着賞金1億3200万円=出走16頭)GI5勝の女傑、そして強力4歳世代を、本格化した6歳馬が蹴散らした。6番人気アーネストリーが、直線入り口先頭から押し切ってGI初制覇を飾った。2分10秒1(良)はコースレコードで、04年セントライト記念(中山)でコスモバルクが記録した日本レコードと同タイム。アーネストリーは、下半期は札幌記念(8月21日、札幌、GII、芝2000メートル)から始動し、天皇賞・秋(10月30日、東京、GI、芝2000メートル)を目指す。
スコールのような雨がやみ、気温に負けない熱い走りが残った。4コーナーを回ってから359・1メートルの直線を、アーネストリーは先頭を譲ることなく走り抜けた。左の拳を握りしめ、佐藤哲三騎手が勝利をかみ締める。99年に父グラスワンダーが制してから12年。宝塚記念史上で、初の父子制覇を成し遂げた。
「手応えを感じていたし、自信はありました。真価を問われるレースで結果を出せてよかった」
この日の阪神競馬場の気温は、今年最高の31度。佐藤哲は汗まみれの顔を拭いもせず、最高の結果に笑顔を浮かべた。
6番人気だったが、内容は横綱相撲だった。好スタートを決めると、内からナムラクレセントを行かせて2番手キープ。1000メートル通過58秒7のハイペースにも動じず、3~4コーナーで後続が詰め寄っても手応えには余裕があった。直線入り口で先頭に立つと、あとは独走。GI5勝ブエナビスタも、ダービー馬エイシンフラッシュも寄せつけないレコードVが、新王者誕生を告げた。
「馬の前向きな気持ちを殺さないように乗りました。後ろを引きつける間もなくレコードで勝つんですから、強かったですね」
圧巻の内容に、佐藤哲ですら舌を巻く。07年7月の新馬戦で後のオークス馬トールポピー、皐月賞馬キャプテントゥーレを破った逸材は、体質の弱さから使っては休養の繰り返しで、出世が遅れた。しかし、昨秋の天皇賞(3着)を勝ったブエナとのコンマ5秒差は、今、完全に逆転した。
佐々木晶調教師と佐藤哲のタッグは、04年タップダンスシチーに次ぐ宝塚記念2勝目。「100%の力を出せば勝てると思っていた。ようやく完成されましたね。本格化したこれからが楽しみです」と、トレーナーは今後に胸を膨らませた。
陣営には仏GI凱旋門賞挑戦の夢もあるが「直線が長いと飽きてしまうクセがある。ロンシャン競馬場は東京より直線が長いから」と佐々木晶師は、ひとまず封印。「東京で天皇賞・秋を勝ちクセを克服したい。そして来年はフランスへ」と、今秋は国内でGIの王道を歩む。英語で「本気で」という意味を持つ6歳馬。本気で走った時の強さを、このGIで知らしめた。(柴田章利)
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