第57回
宝塚記念(26日、阪神11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2200メートル、1着本賞金1億5000万円=出走17頭)
蛯名正義騎乗で8番人気の伏兵
マリアライトがゴール前で抜け出し、人気の牡馬2頭を退けて快勝。2度目のGI制覇を成し遂げた。牝馬の優勝は11年ぶりで、史上3頭目。タイム2分12秒8(稍重)。クビ差2着に入った1番人気の
ドゥラメンテは、左前脚を痛めるアクシデントに見舞われ、
凱旋門賞への挑戦は断念することが決まった。
デビュー30年目のベテランが、われを忘れて手綱をしごいた。その執念に呼応した
マリアライトも、逃げる
キタサンブラックを必死に追った。クビ差でつかんだGI2勝目。引き揚げてきた蛯名騎手は、相棒の首に抱きついてねぎらった。
「(ゴール前は)本当にみっともないくらい追っていた。馬に『がんばれ、がんばれ!!』と思っていたし、自分にも『がんばれ!!』と。本当にうれしいですね。北島さんの歌が聴けなくなって申し訳ありません」
場内インタビューの最後で7万超の大観衆を前に苦笑いを浮かべながらわびたが、レースは会心だった。前半1000メートル通過が59秒1と少し速いペースの道中は、中団を追走。3コーナー過ぎから外を回って徐々に進出し、前を射程圏にとらえて直線に向く。伸びあぐねるライバルを横目に、438キロの小柄な牝馬が重たい馬場を力強く疾走。内で粘る
キタサンブラックをかわし、外から襲いかかる
ドゥラメンテの追撃をクビ差しのいだところがゴールだった。
牝馬では、1966年エイトクラウン、2005年
スイープトウショウに次ぐ11年ぶり史上3頭目の優勝。鞍上が「こういう馬場は合うので、週中から雨が降っていると聞いて『いいな』と思っていた」と勝因に挙げたように、稍重・重馬場では、昨年の
エリザベス女王杯Vを含めて5戦4勝、3着1回と無類の強さを発揮している。舞台も味方したとはいえ、
ドゥラメンテなどGI牡馬5頭を倒した価値は大きい。
久保田調教師は「牧場と連携を取りながら、大事に大事に育ててきた。まだまだ底を見せていない」と、5歳にして成長し続ける愛馬に目を細めた。今後については「まだ白紙で何も考えていない」としたが、優先出走権を得た米GI・ブリーダーズカップターフ(11月5日、サンタアニタ、芝2400メートル)参戦も選択肢に入ってくる。
蛯名騎手は「このメンバーを負かしたことはすごいことなので、とても楽しみですね」と締めくくった。男勝りの
マリアライトは、世界を見据えながら女帝への道を力強く駆け上がっていく。 (川端亮平)
◆JRAのCMに出演中で、プレゼンターを務めた笑福亭鶴瓶 「7万人を超えるファンの方がご来場いただいたとのことで、さすが競馬のオールスター戦、
宝塚記念ですね。阪神競馬場は、ファンの興奮や歓声がとても身近に感じられて楽しかったです」
★26日阪神11R「
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マリアライト 父
ディープインパクト、母クリソプレーズ、母の父
エルコンドルパサー。黒鹿毛の牝5歳。美浦・
久保田貴士厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績17戦6勝。獲得賞金4億725万8000円。重賞は2015年GI
エリザベス女王杯に次いで2勝目。
宝塚記念は
久保田貴士調教師、
蛯名正義騎手ともに初勝利。馬名の意味・由来は「成功の石」と呼ばれるパワーストーン名。