第77回
オークス(優駿牝馬)(22日、東京11R、GI、3歳牝馬オープン国際(指)、定量、芝2400メートル、1着本賞金1億円 =出走18頭)
池添謙一騎乗で1番人気の
シンハライトが直線鋭く伸びて差し切り勝ち。桜花賞ハナ差2着の悔しさを晴らし、初のGI制覇を果たした。クビ差2着は2番人気の
チェッキーノで、3着は5番人気の
ビッシュ。勝ちタイム2分25秒0(良)。
シンハライトは夏場を休養に充て、
秋華賞(10月16日、京都、GI、芝2000メートル)を目標に調整される。
大歓声の後押しを受けて、
シンハライトがグングン伸びる。自慢の末脚で馬群をこじ開け、ハナ差で敗れた
桜花賞の雪辱を果たし、GI初制覇を飾った。
「『伸びてくれ、伸びてくれ』と思ってステッキを入れた。前の馬をかわす前は『ゴールは来ないで』と。かわしてからは『早くゴールが来てくれ』と思った。本当に頑張ってくれた」
池添騎手が白い歯をこぼした。スタートが決まらず道中は後方5番手で、4コーナーでも後方のまま。苦しいポジションだったが、主戦は腹をくくっていた。パドックでは石坂調教師から「好枠((3)番)に入ったしロスのない競馬を」と指示されており、「一瞬迷ったけど、直線はあいたところに突っ込んでいこう」と馬群の中へ。この決断が歓喜のゴールにつながった。先頭に立った
ビッシュをゴール寸前で捕らえ、外から迫る
チェッキーノもねじふせた。
今年のGIは
桜花賞を含む2着3回。ジョッキーにとっても、まさに待望の勝利だった。「
オルフェーヴルを超えるほどではないけど、プレッシャーはありました。でも、乗り越えていかないといけない」と振り返った。「周囲から『いつ“おめでとう”と言わせてくれるの』と言われて、それに応えたかった」。週中には「わらにもすがる思い」で散髪してレースに臨んだ。直線の斜行で2日間の騎乗停止をわびたが、「ホッとした。
桜花賞が悔しい2着で、晴らすのはこの舞台だと強く気持ちを持って臨んだ。少しは悔しさを晴らせるんじゃないかな」と笑顔を見せた。
「これが
シンハライトの底力」と語る石坂調教師にとっても感慨深い1勝だ。管理した兄姉もオープン馬になったが、GIは勝てなかった。「みんな走る。その中で頂点を極めてくれて素晴らしい」と目を細めた。
次は
秋華賞が大目標。骨折で
オークスを回避した
桜花賞馬
ジュエラーに、
NHKマイルCを制した
メジャーエンブレムが出走すれば、名実ともに3歳牝馬の頂点を決めるレースとなる。「一番を証明したい」と池添騎手。早くも秋の頂上決戦を見据えていた。 (渡部陽之助)
★アラカルト
◆2005年優勝馬と酷似
桜花賞で初黒星を喫して2着で、
オークスで優勝は
シーザリオ以来。馬主も同じキャロットファーム。
桜花賞2着馬のVはその
シーザリオ以来12頭目。
◆
ディープインパクト産駒 12年
ジェンティルドンナ、15年
ミッキークイーンに次ぎ3勝目。産駒はセフト、パーソロンの4勝が最多で、3勝はノーザンテースト、トニービン、サンデーサイレンスに並ぶ。JRA・GIは30勝目。
◆調教師&騎手 JRA・GIは
石坂正調教師が14勝目で、
池添謙一騎手は22勝目。
◆関西馬 36勝目で、関東馬は10年の1着同着2頭を含む42勝。1980年以降の夏季五輪開催年は10回全て関西馬が優勝。
★22日東京11R「
オークス」の結果はこちら!レース後談話も掲載