第46回
高松宮記念(27日、中京11R、GI、4歳上オープン国際(指)、定量、芝1200メートル、1着本賞金9800万円=出走18頭)
福永祐一騎乗で1番人気の
ビッグアーサーが、好位追走から差し切って重賞初勝利をGIで飾った。勝ち時計1分6秒7はコースレコード。昨年10月31日に落馬負傷した鞍上は、2月13日に復帰してから初のGI制覇。2着は2番人気の
ミッキーアイル、3着は3番人気の
アルビアーノで、人気通りの結果となった。
薄曇りの空に、大歓声が2度あがった。悲願の初タイトルを奪った
ビッグアーサーの強さに酔いしれた数秒後、電光掲示板に赤く点灯した「レコード」の文字。ついに覚醒した大器を、福永騎手は手放しでたたえた。
「理想的な展開で、道中も『これなら』と思っていた。前の馬もしぶとかったけど、きっちりかわしてくれた。今後もこの馬が短距離界を引っ張ってくれると思います」
前半3ハロンが32秒7の激流の中、道中は少し離れた4番手を追走。直線で外に持ち出すと、先に抜け出した
ミッキーアイルを残り100メートルでかわしさる。勝ち時計1分6秒7は、7Rで出たばかりの記録を0秒6も更新するコースレコードだ。
福永騎手はこの日の未明にドバイから届いた吉報を発奮材料に変えた。
ドバイターフを制した
リアルスティールとはデビューからコンビを組んできた。ムーア騎手へ乗り替わりで、待望のGIタイトルを奪取。悔しくないわけがなかった。
「ここで勝てて少し救われたけど、『もっとがんばれ』ということだと思って受け止めている。日本馬は世界レベルにきている。日本の騎手もそこまでいかないと」
この日の相棒とは初
コンタクトだったが、映像から左にもたれる癖を見抜き、左手にステッキを持った。今、できることを積み重ねてつかんだ勝利には、日本のトップジョッキーとしての矜持(きょうじ)が詰まっていた。
藤岡調教師にとっては開業15年目でのGI初勝利。「長かったので素直にうれしい」と喜んだ。今後は
スプリンターズSを目標に、サマースプリントシリーズ参戦も視野に入れる。
福永騎手は「まだ課題はあるけど、それが解消すれば、海外にも行ける。大いに期待してもらっていい」と締めた。
ビッグアーサーが、世界に打って出る日はそう遠くはなさそうだ。(川端亮平)
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★入場&売り上げアップ
27日の中京競馬場の入場人員は3万1251人で前年比106・8%、
高松宮記念の売り上げは124億8344万2300円で同111・2%とともにアップ。今年のGI初戦の
フェブラリーSに次いで入場、売り上げとも前年比増となった。
ビッグアーサー 父
サクラバクシンオー、母シヤボナ、母の父キングマンボ。鹿毛の牡5歳。栗東・
藤岡健一厩舎所属。北海道浦河町・バンブー牧場の生産馬。馬主は中辻明氏。戦績11戦7勝。獲得賞金2億3988万7000円。重賞初勝利。
高松宮記念は、
藤岡健一調教師は初勝利、
福永祐一騎手が2004年
サニングデールに次ぐ2勝目。馬名の意味・由来は「大きな+人名より」。