第55回
きさらぎ賞(8日、京都11R、GIII、3歳オープン国際(特指)、別定、芝・外1800メートル、1着本賞金3700万円=出走8頭)
戸崎圭太騎乗で1番人気の
ルージュバックが好位から抜け出し、デビューから無傷の3連勝で重賞初勝利を挙げた。牝馬による同レースVは51年ぶり3頭目。今後は
桜花賞(4月12日、阪神、GI、芝1600メートル)が当面の目標となる。2着は2番人気の
ポルトドートウィユ、3着は3番人気の
アッシュゴールド。
モノが違った。どよめきまじりの歓声が、淀のターフにこだまする。誰もが
ルージュバックの強さに酔いしれた。良血ぞろいの牡馬をあっさり一蹴した快勝劇に、戸崎騎手の頬は自然と緩んだ。
「初めての京都競馬場でもどっしりしていて、しっかり走ってくれた。手応え十分で、最後もまだ反応があった。いい競馬ができました」
スタートを決め、道中は3番手。前に壁を作れずに少し行きたがる面も見せたが、我慢がきいて流れに乗った。スムーズに直線に向くと、グングン加速。残り100メートル手前で悠々と先頭に立ち、
ポルトドートウィユ以下を寄せつけなかった。余力十分に2馬身差をつけ、重賞初制覇のゴールを駆け抜けた。
後方待機策だった過去2戦と違い、正攻法の競馬でもメンバー最速の上がり3ハロン34秒4をマーク。競馬に幅が出たことに加え、初の右回り、長距離輸送など与えられた課題を難なく
クリアした。大竹調教師は「3番手で折り合えたのは、かなり大きな収穫。ここまで3戦は思い描いた通りにきている」とうなずく。
牝馬の
きさらぎ賞Vは1964年の
フラミンゴ以来、51年ぶり3頭目。
ウオッカ、
ダイワスカーレット、
ブエナビスタ、
ジェンティルドンナと近年の大物牝馬に続く予感がする。
今後についてキャロットファームの高橋二次矢代表は「
桜花賞を考えたい。その先のことはもう少し様子を見てね」と、まずは牝馬クラシック1冠目を大目標に掲げた。戸崎騎手も「これから成長して、もっといいパフォーマンスを見せてくれると思う」と明るい未来を思い描く。底知れぬ
ルージュバックの伝説は、始まったばかりだ。 (川端亮平)
★8日京都11R「
きさらぎ賞」の着順&払戻金はこちら
アラカルト ◆牝馬によるV 1961年スギヒメ、64年
フラミンゴ以来、51年ぶり3頭目。ただ、1969年まではダ1200メートルで、芝での勝利は初めて。牝馬の出走は99年グッドウイング(14着)以来、16年ぶり47頭目だった。 ◆最低配当 3連複420円、3連単1270円は、同レースの式別最低払戻金額を更新。
ルージュバック 父
マンハッタンカフェ、母ジンジャーパンチ、母の父オーサムアゲイン。鹿毛の牝3歳。美浦・
大竹正博厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績3戦3勝。重賞初勝利。5430万4000円。
きさらぎ賞は
大竹正博調教師、
戸崎圭太騎手ともに初勝利。馬名の意味は母名からの連想で、ブランデーをジンジャーエールで割ったカクテル名。