ジャパンカップダートへ向け、海外から4年ぶりに刺客が乗り込んできた。米国の重賞で4勝を挙げている5歳牡馬パンツオンファイアだ。一昨年のGI
ケンタッキーダービーで2番人気(9着)に支持された経歴の持ち主。米国で競馬殿堂入りしているゲイリー・スティーヴンス騎手(50)と初コンビを組み、外国馬として2003年の
フリートストリートダンサー(米)以来、10年ぶり2度目のVを狙う。
『慌てふためいて(尻に火がついて)』という馬名が似つかわしくないほど、米国馬パンツオンファイアはじっくりと調教を積んでいる。レースの約2週前の今月15日に来日。千葉県白井市の競馬学校での検疫を経て、21日に阪神競馬場に移動した。
「驚くほど好調。来日直前までカリフォルニアにいたが、当時よりいい。新しい環境にも慣れて馬もハッピーに見える」
ホームウッド厩務員が順調ぶりに目を細める。
米東海岸ニュージャージー州のモンマスパークを拠点とするこの馬は、1日のブリーダーズカップダートマイル7着後、米サンタアニタ競馬場で11日にダート4ハロン48秒0(強め)の追い切りを行ってから日本へやってきた。24日に阪神競馬場のダートコースで最終追い切りを行い、馬なりでラスト1ハロン12秒7(5ハロン64秒7)を計時している。
米国にはない右回りのレース。しかし、ふだんとは反対回りの調教を重ねてきた。「いつもと違う方向に走ることにも慣れてきた」という。
実力的に侮れない。米重賞4勝のうち、一昨年のGIIルイジアナダービーでムッチョマッチョマン(3着=今年のブリーダーズカップクラシック勝ち馬)を破り、
ケンタッキーダービー(9着)では2番人気に支持された。GI未勝利だが、2003年のジャパンCダートでは、重賞未勝利だった米国馬
フリートストリートダンサーがレコード勝ちしている。
鞍上は1997年に米国で殿堂入りしたG・スティーヴンス。今年1月に2度目の現役復帰を果たすと、米3冠戦プリークネスSで優勝し、1、2日に行われたブリーダーズカップでは牝馬最高峰のディスタフと牡馬最高峰のクラシックを制した。4年ぶりの海外からの挑戦者は、鞍上も含めて日本馬にとって脅威となる。
★外国馬は1勝
ジャパンCダートは、日本初のダート国際招待競走として2000年に創設。外国馬はこれまで25頭が参戦し、03年に米国馬
フリートストリートダンサーが勝っている。パンツオンファイアと同じ
ケンタッキーダービー出走馬では、2003年にオウタヒアが参戦(9着)。ちなみに
ジャパンCで米国馬は、1981年の初代王者メアジードーツをはじめ4頭が優勝している。