第66回
セントライト記念(17日、中山11R、GII、3歳オープン国際(指)、馬齢、芝・外2200メートル、1着本賞金5200万円、1~3着馬に
菊花賞の優先出走権=出走17頭)春の雪辱に燃えるダービー2着馬が、秋初戦で最高のスタートを切った。東の
菊花賞トライアルは、
蛯名正義騎乗の1番人気
フェノーメノが、早め先頭の積極的な競馬で14番人気
スカイディグニティに1馬身差をつけて快勝。2戦2敗だった中山コースを克服し、悲願のGI制覇へ弾みをつけた。タイム2分10秒8(良)。3着
ダノンジェラートまでが優先出走権を獲得した。
鬼門の中山も、直前のスコールも、まったく問題にしなかった。1番人気に支持されたダービー2着馬
フェノーメノが、4コーナー先頭という堂々の横綱相撲で秋初戦を完勝。悲願のGI獲りへ好発進を決めた。
「春先よりバランスが良くなって、フットワークが滑らかになったので、反応が鋭くなった。いい形で秋のスタートを切れて良かった」。JRA重賞100勝目のメモリアルレースとなった
蛯名正義騎手は、パートナーの成長を満足そうな表情で語った。
道中は好位3、4番手と理想的な位置に付けたが、3コーナー過ぎに他馬が外から押し寄せるきつい展開。それでも「1度引いてスムーズさを欠くようなレースをしたくなかった。力でねじ伏せられる自信はあった」と鞍上は攻めの騎乗で先頭へ。レース直前の集中豪雨で湿った馬場を苦にすることなく、残り300メートルで後続を突き放すと、ゴール前で急襲した
スカイディグニティを1馬身抑えてみせた。
ホープフルS7着、弥生賞6着と、好結果が出ていなかった右回りの中山で見せた完勝劇に「悪夢を払拭できた」と
戸田博文調教師も安堵の表情。「スタートも出るようになったし、道中で掛かることなくポジションを取れた。安心して見ていられたよ」とうなずいた。
春のダービーではハナ差に泣いたが、秋こそは…。
菊花賞(10月21日、京都、GI、芝3000メートル)か、それとも天皇賞・秋(同28日、東京、GI、芝2000メートル)か。進む道は近日中に決まるが、その名の通り“怪物”級の成長力を見せつけた
フェノーメノなら、どちらに向かっても頂点を狙えるはずだ。 (板津雄志)