霧
佐藤洋一郎
くりーく
第61回フジテレビ賞スプリングS(18日、中山11R、GII、3歳オープン国際(指)、せん馬不可、馬齢、芝・内1800メートル、1着本賞金5200万円、1~3着馬に皐月賞の優先出走権 =出走14頭)ミルコ・デムーロ騎手と初コンビを組んだ3番人気グランデッツァが、メンバー最速タイとなる上がり3ハロン35秒5の末脚を発揮して快勝。昨夏の札幌2歳Sに続く2度目の重賞Vを決め、皐月賞(4月15日、中山、GI、芝2000メートル)の有力候補に躍り出た。タイム1分50秒7(重)。2着の1番人気ディープブリランテ、3着の10番人気ロジメジャーまでが皐月賞の優先出走権を獲得。昨年のJRA最優秀2歳牡馬アルフレードは12着に大敗し、4戦目で初の敗戦を喫した。 雨に煙る中山で、クラシック第1冠をグイッと大きく引き寄せた。イタリアの名手ミルコ・デムーロに導かれたグランデッツァが、過去10年で優勝馬が皐月賞を4勝している最重要トライアルを完勝した。 「ツヨイデス! 多くの馬が滑っていたので、滑らぬようハミに気をつけたが、反応、手応えが違った。馬場も問題なかったし、いい脚で伸びました」 初コンビで能力をフルに引き出したミルコが笑顔を見せる。道中は馬場のいい外めを進み、4コーナーで先に仕掛けたディープブリランテを見ながら追撃開始。残り200メートルで鞍上が右ムチを入れると鋭く反応し、内に切れ込んだディープブリランテと対照的に、馬場の真ん中を一直線に堂々と突き抜けた。 「とても強い競馬だったし、ネオユニヴァース、ダイワメジャーと比べても見劣りはしない」 ミルコは03年ネオ、04年ダイワと、自らの騎乗で皐月賞馬へと導いた2頭を引き合いに、グランデッツァに賛辞を贈る。この日の5Rで降着となり、4月1日まで騎乗停止となったが、4月15日の皐月賞には騎乗できる。「(騎乗停止は)休養と考え本番で頑張る。ネオ、ダイワの時のように全力を尽くす」と3度目のVへ意欲的だ。 前走のラジオNIKKEI杯2歳Sでは2番人気に支持されたが、中間の右肩筋肉痛も影響して3着まで。トライアルで軌道修正を果たし、「長距離輸送も平気だったし、道悪も大丈夫。ミルコも本番は乗れるし、万全に仕上げたい」と平田修調教師のトーンも上がってきた。前日の皐月賞トライアル、若葉Sを勝ったワールドエースの評価が高まっているが、昨年の札幌2歳Sに次ぐ重賞Vを飾ったグランデッツァは、3歳牡馬で唯一の重賞2勝馬。実績では明らかに上回っている。 本番では半姉の桜花賞馬マルセリーナ(父ディープインパクト)とのクラシック姉弟制覇、父アグネスタキオンとの父子制覇などさまざまな記録もかかる。イタリア語で『偉大、雄大』という意味を持つグランデッツァは、頼れる相棒ミルコとともに王道を歩んでいく。 (森田実)