くりーく
岡村信将
第16回エルムステークス(19日、札幌11R、GIII、3歳以上オープン、別定、ダ1700メートル、1着本賞金3800万円=出走13頭)マリーンSをレコード勝ちしたランフォルセが、単勝1・6倍と断然の1番人気に応えて重賞初制覇。道中は後方待機から徐々に進出して直線ではGI馬オーロマイスターを競り負かす強い内容だった。タイムは1分44秒2(良)。コンビを組んだ横山典弘騎手は、11日の京成杯オータムHから2週連続重賞勝利となった。 充実した北海道シリーズを最高の形で締めくくった。単勝1・6倍という断然人気に応えてランフォルセが重賞初制覇。ライバルを力でねじ伏せた。 「もともとゲートが悪いからね。この間(マリーンS)はつまずいたが、今回は駐立がよくなかった。大ざっぱなレースになったけれど、のんびり走ったぶんしまいの加速がよかった」 検量室に引き上げてきた横山典弘騎手がさわやかな笑顔で快勝劇を振り返る。スタートで後手に回り、スタンド前を最後方の位置取りで通過した。向こう正面からポジションを上げ、3~4コーナーでまくり気味に進出していく。4コーナーで外から先行集団に並びかけ、逃げ粘るエーシンモアオバー、GI馬オーロマイスターを競り落としてVゴールへと飛び込んだ。これで札幌ダートを2戦2勝とし、コースレコードで制した函館マリーンSに続く豪快な勝ちっぷりで北の大地を席巻した。殊勲の鞍上は06年ヒシアトラス以来、5年ぶり4度目となるエルムS制覇。11日の京成杯AH(フィフスペトル)に続く、2週連続JRA重賞Vとベテランの手綱は冴えまくっている。 09年の日本ダービー(ロジユニヴァース)以来、約2年4カ月ぶりの重賞勝ちとなった萩原清調教師は「競馬にいっての課題はまだ解決していません。いろいろ考えていかないと」と慎重に答えた上で「力をつけているし、GIに向かいます」と砂の頂点を目指すことを明言した。今年、盛岡から東京に舞台を移して行われる交流GIマイルCS南部杯(10月10日、ダ1600メートル)あたりがターゲットか。 「まだ一線級と当たっていないし、上ではキツイ」とノリが“辛口”になるのは期待が大きいからこそ。「萩原調教師、厩務員(ロジユニヴァース担当の松山直樹調教助手)と3人でゲートを直していきたい。また3人で夢を見られたらいいね」とうなずいた。 馬名は音楽用語で『ますます強く』。頼れる“ダービーチーム”が手がけるランフォルセは、その名のごとく、ますます強くなっていくに違いない。(森田実)