第41回
高松宮記念(27日、阪神11R、GI、4歳上オープン国際、定量、芝・内1200メートル、1着賞金9500万円=出走16頭)昨年とは異なる場所だったが、強さは変わらなかった。3番人気の
キンシャサノキセキが好位から直線で抜け出して快勝。中京開催だった昨年に次ぎ連覇を決めた。タイム1分7秒9(良)。ウンベルト・リスポリ騎手(22)=イタリア=はJRAのGI初制覇を飾った。1番人気
ジョーカプチーノは不利が響き10着に大敗。加害馬の
ダッシャーゴーゴーは4位入線→11着に降着となった。
澄み切った青空の下、
キンシャサノキセキが豪快な末脚で伸びてくる。楽々と直線で突き抜けて、GI昇格後の96年以降としては初となる
高松宮記念連覇を達成した。
「勝ったことが信じられない。素晴らしい状態だったし、反応が良かった。馬にも、堀調教師にも感謝したい」
ウンベルト・リスポリ騎手が喜びを爆発させる。今年、初めて取得したJRAでの3カ月間の短期免許。その最終日にビッグタイトル奪取だ。
スタートを決めて道中は5番手。その流れ、手応えで「きょうは勝てる」。リスポリは、スタート直後の1ハロンで勝利への自信を得た。前を行く
ダッシャーゴーゴーを目標に勝負どころから進出。「ステッキを嫌がる」という理由でムチは使わず、
ゴーサインは手綱のみ。それでいて、上がり3ハロン34秒0の決め手で一気に勝負をつけた。
この日は、イタリアのセリエAジュニアユースでプレーしている弟ピエトロの誕生日。「勝たせてもらってうれしい」と涙ぐむひと幕も…。26日(日本時間27日未明)に行われたドバイワールドCでは、同じイタリア人騎手のミルコ・デムーロが勝利。「ミルコが大レースを勝ったことは、ボクのパワーになった」と、尊敬する先輩の活躍もタイトル奪取の大きな原動力となった。
厩舎サイドのVへの努力も見逃せない。道中で引っかからないように、制御力の強いノーズバンドを着用。マイナス10キロと体もキッチリと絞った。「枠順が良かったこともありますし、運がありました」と堀調教師は静かな口調で総括した。
滞在期間中に28勝を挙げたリスポリはこれで帰国。「3カ月、とても幸せだった。たくさんの場所で、たくさん乗せてもらえた。日本での経験は自信になったし、必ず来年、また日本に戻ってくる」と約束。人馬ともに最高の結末となった物語の続きが、今から待ち遠しい。(宇恵英志)