第18回
チューリップ賞(5日、阪神11R、GIII、3歳牝馬オープン国際、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金3700万円、1~3着に
桜花賞(4月10日、阪神、GI、芝・外1600メートル)の優先出走権=出走12頭)
ディープインパクトの再来か、それ以上か-。5日、阪神競馬場で
桜花賞トライアルの
チューリップ賞が行われ、
福永祐一騎手(34)=栗東・フリー=騎乗の
レーヴディソール(栗東・
松田博資厩舎、牝3歳)が楽々と4馬身差の圧勝。昨年のJRA最優秀2歳牝馬が、衝撃のパフォーマンスでデビューから4連勝を飾った。タイム1分34秒5(良)。順調ならば牝馬クラシックは「当確」。そして、さらなるステップへ-。
レーヴディソールは史上最強馬への道を歩み始めた。
他の馬は止まってしまったのか-。そう思わせるほどの強さに、阪神競馬場に集まった2万人の観衆が声を失った。まるで、
ディープインパクトが登場したときのような衝撃。2歳女王
レーヴディソールは、大外からラスト200メートルで先頭に立つと、
福永祐一騎手が手綱を抑えたままで後続をグングンと突き放し、4馬身差の圧勝。ニューヒロインは、驚愕の内容で無傷の4連勝を飾った。
「自分が乗ってきた中で、これほどインパクトのある馬はいなかった。こんなに楽に重賞を勝てたのも初めてです」
ユーイチの声が思わず弾む。05年に日米
オークスを制した
シーザリオや、
ラインクラフト(05年
桜花賞、
NHKマイルC)といった名牝の背中を知るユーイチが「初めて」というほど、この日の強さは格別だった。
昨年12月12日にGI
阪神ジュベナイルフィリーズを制してから、約3カ月。女王は確実に進歩していた。馬体重のプラス10キロは、ほぼ成長分。また、出遅れグセは解消され、道中9番手でも、これまでよりも先頭と近い位置で競馬ができた。
そして、直線へ。ユーイチが
ゴーサインを出すと一気に先頭集団に追いつき、そこからは独壇場だ。「スタートで五分に出たし、直線までゆっくりと構えました。最後までムチを使うことはなかったですね」とユーイチは涼しげに振り返る。
「スタートが良かったし、馬体も増えて成長していた。無事に行ってくれれば、それでいい」
松田博資調教師は当然といった表情で、愛馬を称える。単勝支持率はグレード制導入の84年以降の重賞で最高の81・4%。また、1分34秒5の勝ちタイムも、最近10年では
ウオッカ、
ダイワスカーレットがクビ差の激闘を演じた07年の1分33秒7に次ぐもの。それを余裕でマークした。周囲の評価、そして内容とも、すでに“名馬”の域だ。
05年1月22日の若駒Sで、
ディープインパクトが直線で豪快に他馬を抜き去り“飛んだ”シーンが、思わず脳裏に浮かんできた。「スーパースターの誕生や」。そうつぶやく周囲の声は、現実味を帯びている。まずは
桜花賞(4月10日、阪神、GI、芝1600メートル)。牝馬クラシック第1弾で、その声を確かなものとする。(柴田章利)
★年度代表馬への関門
クリア 近年、牝馬でJRA年度代表馬となったのは97年
エアグルーヴ、08、09年
ウオッカ、10年
ブエナビスタの3頭。3頭とも
チューリップ賞を勝っており、出世レースを制した
レーヴディソールへの期待は高まる。さらに、3頭が
チューリップ賞以前に敗戦を喫していたのに対し、
レーヴディソールは無敗。“史上最強馬”への夢も膨らむばかりだ。