素質馬
ノーブルジュエリーが、
桜花賞出走を賭けて
アーリントンCに出走する。秘めた能力は高く、スピードは牡牝を問わずに一級品。牡馬相手に大仕事をやってのけ、
レーヴディソール中心の桜戦線に新たな風を送り込む。
計算ずくのチャレンジなのだ。
桜花賞を目指す有力馬は次週に行われるトライアルの
チューリップ賞(3月5日、GIII、芝1600メートル)に出走するのが通例だが、
ノーブルジュエリーは敢えて1週前の牡馬相手のGIIIを選んだ。
「
チューリップ賞は1勝馬が抽選になることが多いですからね。それなら1勝馬でも出走しやすい
アーリントンCで賞金加算(2着以内)を狙いたい」
吉村調教助手は参戦の経緯を説明する。確かに
チューリップ賞は前5年で
ブエナビスタが出走した一昨年以外はフルゲート。
チューリップ賞は抽選で除外になる可能性があるので、
アーリントンC出走を決めた。
このローテーションを選べたのも、能力の裏付けがあってこそ。デビュー戦(芝1400メートル)は2着に9馬身差をつける逃げ切り楽勝。タイムの1分21秒3は
ゴールデンキャストの持つ2歳コースレコードにコンマ2秒差と優秀なものだった。
前走のエルフィンSは2番手で折り合い、
マルセリーナの末脚には屈したが2着を確保。控えるレースを学習できたのは大きく、マイル戦へのメドも立った。「うまく折り合っていいレースをした。今考えると相手が悪かった。それでも外から来られてからまた伸びていたし、負けたとはいえ非凡な能力を見せてくれた」と吉村助手は前走を評価する。
スピードタイプなので、芝のコンディションがいい開幕週の馬場は望むところ。「開幕週ならこの馬の持っているスピードをフルに生かせる。距離も前走で経験済みだし、ここは勝ちたい」と陣営の期待は高まるばかりだ。
スピード感あふれるスケールの大きな走りは、無傷の7連勝で
ケンタッキーダービーを制した父スマーティジョーンズ譲り。
ノーブルジュエリーが、牡馬勢を撃破して、外国産馬初の
桜花賞制覇へ名乗りをあげる。 (高尾幸司)