第15回
NHKマイルC(9日、東京11R、GI、3歳オープン国際、せん馬不可、定量、芝1600メートル、1着本賞金9200万円=出走18頭)1番人気の
ダノンシャンティが、従来の記録を0秒1更新する1分31秒4(良)の日本レコードで圧巻V。“驚速”で3歳マイル王に君臨した。
安藤勝己騎手(50)は昨年の
オークス(
ブエナビスタ)以来のJRA・GI21勝目。
松田国英調教師(59)はJRA重賞50勝を達成した。陣営はダービーで変則2冠に挑む。人気を分け合った
サンライズプリンスは4着に敗れた。
豪快な差し切りを決めた直後、場内に表示された勝ち時計の上にレコードの赤文字。1分31秒4!!
ダノンシャンティが、驚異の日本レコードを叩き出し、変則2冠制覇へと大きく前進した。
「不利がなければ確実に脚を使うので、安全策で外を回りました。それにしても、考えられないような時計。ビックリしました」
地方時代を含め多くの名馬を知る
安藤勝己騎手さえ目を丸くする“驚速”だ。前半1000メートルが56秒3の超ハイペースを、直線だけで15頭ごぼう抜き。このペースで上がり3ハロン33秒5の末脚を使うのだから、性能が違いすぎる。
シャンティは、デビューから前走の
毎日杯までの4戦が全てスローペース。前半は後方に置かれたが、アンカツは動じない。「流れが速いと感じましたが、馬に任せました。何とかなると思っていましたから」。メンバー最速の上がり3ハロン33秒4で突き抜けた前回の末脚を信じ、待機策から大外一気。追い切り後の共同記者会見で言い放った「今回も強い勝ち方をしてくれると思います」という言葉通りの結果を導き出した。
これで、陣営が公言していた大目標の
日本ダービー(30日、東京、GI、芝2400メートル)との2冠制覇に意欲をもって臨める。「強い馬が2頭いますが、こういう勝ち方ができたので胸を張って挑戦できると思います」とアンカツ。シャンティは、
皐月賞馬
ヴィクトワールピサとはラジオNIKKEI杯2歳Sで対決し3着に敗れた。
青葉賞馬
ペルーサはアンカツが若葉Sで騎乗し能力を実感する。この2頭のほか、プリンシパルS圧勝の
ルーラーシップも駒を進めてくる。「とにかく今年は相手が揃っていますから。挑戦する気持ちで乗ります」と表情を引き締めた。
「反応がすごくいい馬ですし、距離に多少の不安はあります。でも、きょう乗った感じなら、何とかこなしてくれないかな…と。それなりに期待は持てると思います」
2400メートルへの不安を口にしながらも、手応えは感じている。04年
キングカメハメハ、08年
ディープスカイが達成したマイルC&ダービーの変則2冠の偉業へ。
ダノンシャンティが、主役の1頭として、堂々とダービーのステージに上る。(黒田栄一郎)