第60回
ダイヤモンドS(14日、東京11R、GIII、4歳上オープン国際、ハンデ、芝3400メートル、1着本賞金4100万円=出走15頭)超良血の
フォゲッタブルが1番人気に応えて完勝。
武豊騎手(41)はデビュー以来24年連続となるJRA重賞Vを決めた。3分32秒6(良)。
武豊、
池江泰郎調教師、金子真人オーナーと言えば、あの
ディープインパクトと同じ。今後の結果次第だが、来年2月で定年を迎える池江郎師は、「秋にはワインの香りがするところにも」と仏GI
凱旋門賞挑戦の夢も描いていた。
GI制覇、そして海外へ。夢が大きく膨らむ完勝だ。1番人気に推された良血馬
フォゲッタブルが鮮やかな差し切りで重賞2勝目。昨年8月の小倉以来の騎乗となった
武豊騎手も、良化ぶりに目を細める。
「久しぶりに乗りましたが、馬がすごく良くなっていますね。特に後ろ脚が強くなっています」
前回の騎乗時は、1000万下でブービー負け(1番人気)を喫した時。それから半年での飛躍は、血統のなせる業だろう。競馬ぶりも強いの一語だ。不利な外枠からのスタートで位置取りが悪くなっても、落ち着いて追走。直線に入ってから
ゴーサインを出し、上がり3ハロン34秒9で豪快に突き抜けた。だが、これでも完成途上だと陣営は言う。
「まだまだ、ですね。伸びしろは十分にあります」とユタカが言えば、
池江泰郎調教師も「今までつらかったが、やっと
エアグルーヴの子と言えます。これからですよ」と言う。07年のセレクトセール1歳馬部門で2億5275万円(税込み)の値がついた良血馬は、まだ眠りから覚めたばかりだ。今後は、
阪神大賞典(3月21日、阪神、GII、芝3000メートル)から天皇賞・春(5月2日、京都、GI、芝3200メートル)に向かうが、池江郎師は「秋はワインの香りがするところにも…」とつぶやいた。金子真人オーナー、市川明彦厩務員は、05年の無敗3冠馬
ディープインパクトと同じチーム。4年前に果たせなかった
凱旋門賞(3位入線失格)への夢を馳せている。
「当面の大目標は天皇賞だと思います。
メジロマックイーンやディープで勝たせてもらったし、池江先生にとっては最後の天皇賞ですから、先生のためにも頑張りたいですね。まだこれからの馬ですけど、“飛ぶ”準備はできてきたかな」
来年2月いっぱいで定年となる名伯楽のために奮闘を誓うユタカは、今後の成長次第でディープに近づく素材であることも認めた。春の盾でGIを勝ち、秋にはロンシャンへ-。大きく広がる夢に向かって、
フォゲッタブルの勢いはますます加速していく。(黒田栄一郎)