第70回
菊花賞(25日、京都11R、GI、3歳オープン、せん馬不可、馬齢、芝・外3000メートル、1着本賞金1億1200万円=出走18頭)3冠最終戦は8番人気の
スリーロールスが直線で抜け出して優勝。デビュー3年目の
浜中俊(すぐる)騎手(20)=栗・坂口大=はGI初制覇を飾った。3分3秒5(良)。父子で菊制覇を達成したスリーは伝説の新馬戦4着馬で、同じレースからクラシック馬が3頭出たのは初めて。ハナ差2着が
フォゲッタブル。1番人気の
リーチザクラウンはゴール前で失速して5着に敗れた。
伝説の新馬戦から、新たなクラシックホースの誕生だ。単勝8番人気の
スリーロールスがGI初挑戦で
菊花賞制覇。デビュー3年目の
浜中俊騎手は7度目のGI挑戦、牡馬クラシック初騎乗で淀の3000メートルを見事に乗りこなし、GIジョッキーの仲間入りだ。
フォゲッタブルの急襲をハナ差しのいでゴールした瞬間、新婚の浜中は左手を高く上げ、薬指のリングに口づけした。検量室前でも再び雄叫びを上げてガッツポーズ。両手で抱くように愛馬に感謝の気持ちを表し、競馬学校時代の担当教官と抱き合って喜んだ。
「凄く嬉しい。本当に最後までよく頑張ってくれました。着差(ハナ)は僅かでも勝ちは確信できました」
20歳の若武者の笑顔がまぶしい。逃げる
リーチザクラウンを最内(1)番枠から好位3番手で追走。ロスなく進め、2周目の直線で
ゴーサイン。直線半ばでターフビジョンを気にして物見をしてしまい外によれ、他馬に迷惑をかける場面もあったが、すぐ右から左にムチを持ち替え、
フォゲッタブルとの叩き合いを制した。
実は週中に発熱して体調を崩していた。日曜早朝の調教は寝過ごして遅れた。「調教に遅れて先生(師匠の坂口大師)には叱られました(笑)。小さい頃からGIジョッキーになるのが夢だった。それが現実になって嬉しい。ロールスは折り合えれば距離はこなせると思っていた。まだこれから力をつけて強くなってくれると思うので、ボクも一緒に頑張りたい」。歓喜に浸り、熱も吹っ飛ぶ。
スリーロールスは、96年
ダンスインザダークに次ぐ父子菊制覇。ステイヤーの血が春の実績馬を一蹴し、最後の1冠を奪取させた。年内は
有馬記念(12月27日、中山、GI、芝2500メートル)が最大目標だが、「状態が良ければJC(11月29日、東京、GI、芝2400メートル)参戦も視野に入れたい」と
武宏平調教師。高級車ロールスロイスから命名された
スリーロールス。一線級の古馬相手に浜中とのコンビでどんな走りを見せてくれるのか大いに楽しみだ。(片岡良典)