【TAROの競馬研究室】ヴィクトリアマイル展望:盤石とは言い難いアーモンドアイ、注目の穴馬は?
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先週のNHKマイルカップは伏兵・ラウダシオンが2番手から抜け出し、最後は人気のレシステンシアをねじ伏せて勝利を挙げた。2着に逃げたレシステンシアが入り、3着以下もインで脚を溜めた馬が占める「先行内枠決着」となった。
勝ったラウダシオンの鞍上はデムーロ騎手。最近はすっかりルメール騎手の陰に隠れることも多くなったが、ラッキーライラックでの大阪杯制覇に続いて今年G1・2勝目。デムーロ騎手といえば好不調の波が激しく、好調期にまとめて稼ぐ傾向がある。昨年もNHKマイルカップをアドマイヤマーズで制したあと、2週間後のオークスをラヴズオンリーユーで制覇。今年もこの後の春のG1戦線では警戒すべきかもしれない。
〜移動制限のなかG1の裏で貫録を見せた松山&藤岡兄
さて、今はコロナウィルスの影響で騎手の東西移動が制限されている。先週だと例えば武豊騎手は、本来であれば土曜はアドマイヤビルゴで京都新聞杯、日曜は東京へ移動してサトノインプレッサに騎乗…としたいところだっただろうが、移動ができないため土曜も東京で騎乗することになった。
そうなると、これまでは日曜日だけだったはずの「G1に騎乗しないメンバー」での開催が、土日ともに続くことになる。これは、G1に乗り馬のいない騎手にとってはチャンスで、ルメール騎手や武豊騎手、デムーロ騎手が不在の中で土日ともに騎乗することができる。
先週でいえば川田騎手が裏開催の主といったところだっただろうが、存在感を見せたのは落馬事故から早々に復帰した松山騎手だ。
日曜メインの鞍馬ステークスなどを含め、土日を通じて4勝の固め打ち。もともとG1裏開催やローカルに強いジョッキーでもあり、今後も注目したい。
また藤岡佑介騎手も、勝ち星こそひとつだったが、6番人気以下の伏兵馬を4頭も馬券圏内に持ってくるなど存在感を見せた。
松山騎手は先日のデアリングタクトでの桜花賞制覇など、ココに来て存在感を増してきているが、藤岡佑介騎手はいまだにその技術の割には人気にならない印象がある。今後も裏開催でのジョッキーたちの攻防はチェックしておきたい。
〜ヴィクトリアマイル展望
さて、今週はヴィクトリアマイルが行われる。5年前には200万を超える超大万馬券が出たほか、3年前にも3連単で90万超ととにかく荒れるレースだ。
今年は有馬記念以来となるアーモンドアイが恐らく断然の支持を集めそうだが、久々に加えてドバイへのカラ輸送など、一頓挫あった点はやはり心配になる。もともとマイルは実績があるとはいえやや短い印象もあり、昨年の安田記念では出遅れから猛然と追い込むも3着止まり。今回も流れに乗れないと危うさもありそうだ。
もちろん実績も能力もダントツのナンバーワン。ただ、そういう馬でも展開や調子ひとつで崩れるのが競馬の怖さであり難しさ。アーモンドアイ自身、有馬記念でそのことを自ら証明してしまっているので、今回もひと波乱あっておかしくない。
そこで注目はサウンドキアラ。今年に入って重賞3連勝と勢いに乗っているが、その内容も秀逸。いずれもスタートを決めて好位で流れに乗れており、とにかくレースに注文がつかないのが良い。持ち味の器用さを生かせれば、ジャイアント・キリングを成し遂げる可能性もある。
前走はチグハグだったが舞台実績のあるプリモシーンや、雪の中で行われた中山牝馬Sではまったく力を出せなかったコントラチェックも展開次第ではチャンスがありそうだ。
また大穴でディメンシオンにも注目。前走は大穴での激走だったが、一旦逃げる姿勢を見せた後にサッと控え、ラストで再び伸びて来る見どころのある内容だった。左回りは得意なだけに、流れに乗れれば出番があるかもしれない。
少なくともアーモンドアイに無条件降伏をするようなレースではない。断然人気馬が万が一にも飛ぶことがあれば、配当は一気に跳ねる。他の馬を本命にしたはいいが、アーモンドアイを対抗にして結局2頭軸にする…というような意味のないことはせず、思い切りを忘れずに臨みたい。
※ヴィクトリアマイルの結論は、『TAROの競馬』にて無料公開予定。また、馬券の買い方や券種の選び方なども含めた結論は、競馬ノートにて限定配信の予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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【TAROの競馬研究室】騎手の距離適性を考える/東西トライアル展望
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秋競馬開幕週となった先週末は、東西で3つの重賞が行われた。
中山の2重賞は、ともに開幕週らしく先行イン有利の競馬に。京成杯AHでは逃げたトロワゼトワルが、横山典騎手の鮮やかなペース配分で逃げ切り勝ち。2着も先行したディメンシオン、3~5着には2・3・1番枠の馬が入り典型的な、
「逃げ馬が内枠を連れて来る」
という決着となった。
土曜の紫苑Sでも先行馬がそのまま粘り込んでおり、かつては差しも届く中山の芝が話題になってはいたが、今年は春開催も含め、以前のような内枠勢の活躍が再び目立つようになっている。この馬場トレンドの変化は、今後もアタマに入れておきたい。
秋G1に向けて注目という意味ではセントウルSだろう。高松宮記念の覇者ミスターメロディもここから始動となったが、レースは強行軍の中1週で出走したタワーオブロンドンが、後続に3馬身差をつける鮮やかな勝利でスプリンターズSに名乗りを上げた。
スプリント路線に参戦して今回で3戦目。経験を積むごとに追走もスムーズになっており、今回の内容ならばダノンスマッシュとの再戦となる本番にも期待が持てる内容だった。
~ファンタジストの好走は”和田スタイル”がもたらした
さて、そのセントウルSだが、2着には和田騎手が騎乗したファンタジストが入線、スプリングS以来久々の好走を果たした。前走まで騎乗していた武豊騎手からの乗り替わりで結果を出した形だが、今回に関しては和田騎手のテンから出していく積極性が実を結んだ形だ。
ファンタジストの好走を見て改めて感じるのは、ジョッキーの距離適性だ。いわずもがな、ジョッキーの巧拙は絶対的なモノではなく、相性や状況によって変わってくる。
ファンタジストを例にすれば、1800mという本来の適性距離より長いスプリングSで2着と好走できたのは武豊騎手の手腕によるものが大きい。武豊騎手は、距離を持たせることに関していえば今でもトップクラスの技術を持っている。だが、マイル以上を使われた後に再びスプリント路線に戻ってくると、かつてのような追走力がなくなり、テンに置かれるようになった。前走の北九州記念では最後方追走となり、さすがに見せ場を作れず終わってしまったのも中距離のペースに慣れてしまっていたのが大きい。
いわば馬が中距離仕様になってしまったわけだが、こうなると、今度は武豊スタイルだと位置取りが悪くなってしまい、テンからガシガシと気合を入れていくタイプのジョッキーの方が結果を出せるようになる。和田騎手はどちらかといえばファイター系の騎手で、積極性やインを突く強気のスタイルが武器だ。今回のファンタジストでもスタートから気合を入れて先行させ、そのスタイルが好走をもたらしたといえるだろう。
馬にも距離短縮や距離延長の適性があるように、騎手にも短縮や延長の適性がある。今週末の競馬でいえば、例えばローズSに出走するスイープセレリタスは、初距離となるが距離をもたせる技術に長けているルメール騎手の手腕をもってすれば1800mは難なくこなせる可能性が高い。
一方、穴人気を集めそうなシャドウディーヴァは、最近の岩田騎手の溜めるスタイルだと、久々の1800mは流れに乗りにくくなる可能性が高い。もちろん馬場や展開などによって状況は変わるが、騎手のスタイルを頭に入れておくことで、位置取りや馬との相性なども考えられるようになる。
~菊花賞の隠し玉・オセアグレイト
ローズSの話題が出たところで、今週末の重賞の展望をしたい。
ローズSはその年によって先行イン有利か外差し有利かハッキリ分かれる傾向があり、まずはその見極めが重要になる。今年のメンバーをザックリ見る限り、先行馬がそこまで多くなく、また先週の馬場状態を見ても先行イン有利が濃厚かもしれない。
現時点で注目は前述したルメールのスイープセレリタス、伏兵ならアルティマリガーレが面白そうだ。いずれも前走はマイル戦を先行して制しており、前で流れに乗れるのは確実だろう。オークス組の多くは差し馬で、使われている強みと先行力で十分に太刀打ち可能とみる。
一方、菊花賞へ向けて中山ではセントライト記念が行われる。こちらは18頭の多頭数となり難解な一戦となりそうだ。
コチラの注目は3連勝で臨むオセアグレイト。まだ一線級との対戦実績はないが、非常にレースセンスが高く、個人的に菊花賞の隠し玉とみている一頭だ。2400m以上の長距離を使われていたので2200mへの対応が課題になるが、内寄りの枠を引いて流れに乗れれば能力的にも好勝負になるはずだ。今年は穴馬での好走も目立つ野中騎手の手腕にも期待したい。
※一部重賞の最終結論は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開します。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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