競馬の話題を掘り下げる「ズームアップ」は先週に続き、初年度産駒がデビューする新種牡馬を特集。すでに産駒が勝ち上がった“新米パパ”もいる。今週はアイルハヴアナザーなど、大物輸入種牡馬に注目。内国産種牡馬が全盛の現状に立ち向かい、多くのビッグネームが並んでいる。(取材構成・千葉智春)
種牡馬界は近年、サンデーサイレンス系を中心とした内国産サイアーが隆盛を誇る。しかし、今年の新種牡馬には海外の大物種牡馬が多く並んだ。その一翼を担うのがアイルハヴアナザーだ。
2012年にサンタアニタダービー、ケンタッキーダービー、プリークネスSとGI3連勝。米3冠をかけたベルモントSはレース前に左前脚の屈腱炎を発症し取消となったが、高い競走能力を買われ、ビッグレッドファームが購買した。
初年度の2013年は152頭に種付けし、以後も123頭、127頭と高い人気を維持。今年もほぼ同数にのぼる見込みで、同ファームの蛯名聡マネジャーも「産駒のデビュー前は申し込みが落ち込むものですが、高い評価をされていると解釈しています」と喜びを口にする。
フォーティナイナー系らしいスピードがあり、仕上がりの早さも特徴だ。「しっかりした馬が多く、柔らかいしパワーも豊富。走りに軽さもあるので、芝も十分に対応してくれると思います」と蛯名マネジャーは期待を寄せている。
牧場で「非常にいい動きをしていた」ブロッシェ(美・黒岩、牝)は、交流GI全日本2歳優駿を制したディアドムスの半妹で、19日の函館芝1200メートルでデビュー予定。評価の高いマイネルヘミニス(美・高橋祥、牡)も函館デビューに向けて調整されている。内国産種牡馬全盛の近年だが、今年はアイルハヴアナザーを筆頭に輸入種牡馬の逆襲がありそうだ。
★キングズベスト
キングズベストは半姉に凱旋門賞馬アーバンシーがいる良血馬。産駒の持ち込み馬エイシンフラッシュが2010年の日本ダービー、12年の天皇賞・秋を制しており、日本の芝への適性は証明済みだ。
馬産地人気も絶大で、174頭に種付けした初年度産駒にはGI2勝馬グランプリボスの半妹リージェンツパーク(栗・湯窪)、NHKマイルC勝ち馬クラリティスカイの半弟エンドゲーム(栗・安田)などがいる。
★ストリートセンス&サマーバード
米3冠レース勝ち馬2頭も注目だ。ケンタッキーダービー馬ストリートセンスは初年度に144頭に種付け。産駒のロジセンス(栗・矢作、牝)が11日の東京で新馬勝ちを飾り、好スタートを切った。ベルモントS勝ち馬サマーバードも127頭とかなりの人気だ。前者は北米で産駒が活躍したことで母国に戻され、後者は13年末に変位疝で死亡。ともに産駒は1世代のみだが、活躍が期待される。