球界にも菜七子フィーバー!? JRAに16年ぶりに誕生した女性ジョッキー、藤田菜七子(18)=美浦・根本康広厩舎=が17日、プロ野球のオープン戦、日本ハム-ソフトバンク(鎌ケ谷)で始球式を務めた。直後にはJRA女性騎手として史上最速となる重賞初騎乗が決定。20日のフジテレビ賞スプリングS(中山、GII、芝1800メートル)にモウカッテル(栗東・森秀行厩舎、牡3)で参戦する。今週末は3日間開催となり土・日・月曜で計12レースに騎乗。菜七子への期待は高まるばかりだ。
プロ野球のマウンドで菜七子が舞った。うららかな春の日差しの下、始球式を務めた菜七子が頬を赤らめる。
「競馬とは雰囲気が違って、とても緊張しました」
右手を手綱からボールに持ち替え、左手をムチからグラブに替え、日本ハムのユニホーム姿で登場した菜七子。平日の昼間にもかかわらず4187人の大勢のファンから歓声が飛び交う。
「かわいい~」
「がんばれ!」
マウンドに上がり、先発の日本ハム・大谷翔平投手(21)にあいさつ。身長差36センチのカップル(菜七子1メートル57、大谷1メートル93)に視線が集まる。日本最速右腕が見守る中、菜七子は騎乗ポーズを披露し、大きく振りかぶるモーションから投じられた球は三塁側に外れ、ワンバウンドで捕手のミットへ。ほろ苦い“初登板”となったが、場内のファンを沸かせた。
直前の練習ではノーバウンドでの投球も見せていただけに、「全然ダメでした。0点です」と菜七子は悔しそう。
大谷投手の印象を聞かれると「スラッとして大きくて、『本物の大谷選手だ』と感激しました」と興奮していた。
打席で菜七子に対したソフトバンク・福田秀平外野手は、直後に大谷投手の初球を叩いて先頭打者本塁打を放った。これも菜七子パワー!?
大役を全うした菜七子には、直後にビッグサプライズが待っていた。20日のフジテレビ賞スプリングSでモウカッテルへの騎乗依頼が、舞い込んだ。「始球式を終えて帰る途中で聞いてびっくりしました」と菜七子は驚きを隠せない。予定されていたフラワーC(21日)のシャララは除外されたが、想定外の1日早い重賞デビューとなった。
JRAで初騎乗から16日目での重賞騎乗は、細江純子元騎手(現競馬解説者)の142日目を抜き、女性騎手として最速。勝てば史上初の快挙だ。「うれしいですし、関係者の皆さんに感謝しています。期待に応えられるように頑張りたいです」とやる気をみせた。
24日には浦和競馬場で行われる交流競走・ツインエース特別にウインアンビションで参戦することも決定した。
高知で女性NO・1ジョッキーと対戦し、日本球界の至宝とも対面した菜七子。週末は土曜が中京、日曜と月曜が中山で騎乗。本業の競馬でファンを魅了する。(藤沢三毅)