JRAで16年ぶりの女性ジョッキーとなった藤田菜七子(18)=美・根本。3日の公営・川崎競馬でデビューし、5、6日の中山競馬と合わせて計9鞍に騎乗した。初勝利はお預けとなったが、2着2回3着1回と馬券にも絡んで“実戦に強い”面をアピール。騎乗ぶり、セールスポイントと今後の課題を検証する。
早くも全国区の人気を誇る藤田菜七子騎手。JRA所属騎手として異例の3・3公営・川崎デビューを果たし、6頭中4頭を掲示板(5着以内)に載せ、2、3着が各1回と活躍した。
中央競馬ではデビューから5年以内で100勝以下の見習騎手に対し、重賞・特別レースを除いて斤量が3~1キロ軽減されるが、師匠の根本康広調教師(60)は「地方では減量の恩恵がない。もしあったら勝っていたと思う」と言い切る。
「スタートのセンスがいい。最後のレース(12R・ポッドライジング3着)は2番手で、4コーナー手前の勝負どころで両サイドから来られて引かずに押していけたのを見て、いい根性をしていると思った。ステッキの持ち替えもできていた」
きついカーブで有名な川崎の1~2コーナーも外に膨れずに回った。5Rで菜七子の騎乗したミスターナインワン(2着)からハナ差の3着だった“大井の帝王”的場文男騎手(59)から「あの子はうまいよ!!」と絶賛されている。
5日の中央デビュー戦(中山2R)は自厩舎のネイチャーポイントに騎乗して抜群のスタートを切った。冷静に周りの状況を判断。直線でうまく外に持ち出し、猛然と追い込んで2着となった。6日は2、12Rで騎乗。「雲の上の存在。負けたくない気持ちもあります」という武豊騎手と“競演”し、「最後もしっかりと追っていたし、僕のデビュー時以上」と天才をうならせた。
競馬学校時代の模擬レースでは、さまざまな課題を抱えて悔しがっていたが、騎手経験のある競馬学校の小林淳一教官(42)は「スタートも上手に出せて、しっかりと追えていた。短期間で見違えるぐらいに変わってきた」と目を丸くする。デビュー前と後で周囲の見る目が違ってきたことは確かで、ある競馬関係者は「普段の調教より実戦は落ち着いて上手に乗れていた。川崎で経験したのが良かったのではないか」と語る。
中央では1600メートル超のレース経験がないため、コーナー4つの1800メートル以上のレースで道中の折り合いや、引っ掛かるような馬の乗りこなし方が今後の課題だ。
「乗せていただいた方々に感謝して、一鞍一鞍大事にして、まずは初勝利を目指したい」と菜七子。一挙手一投足に今週も注目が集まる。 (片岡良典)
(情報元:SANSPO.COM)