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【濃霧注意報DX】~ジャパンカップ(2017年)展望~

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【濃霧注意報DX】~ジャパンカップ(2017年)展望~ | コラム | ウマニティ



 真剣に競馬予想をするようになってから「変わったなぁ」とフクザツに思うのが、”強い馬を好きになれなくなった”こと。競馬を観始めた頃の、”強い馬がどんな勝ち方をするのか”というワクワク感よりも、”強い馬の隙を突いて高配当を狙う”ワクワク感の方が上に来てしまうのですよね。我ながら腐ったオトナになったものです。
 ですが、そんな腐った心も一瞬だけキレイになる瞬間があり――そう、一か月前の天皇賞(秋)のゴール直後がそうでした。散々ケチを付けて嫌ったキタサンブラックに、これ以上なく強い競馬を見せ付けられた時、「あぁ、逆らった自分が馬鹿だった」と、悔しさを通り越して笑いすら込み上げてきたのです。


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 そんな風に白旗を挙げたのならば、今週のジャパンカップの本命は何も考えずキタサンブラック!!と言いそうなものですが、人の心の賞味期限というのは案外短いもので、一か月の時を経て、私の心は既に腐りかけ。
 せっかくキレイになった心がなぜこうなってしまったのか……詳しくは本編で語るとしましょう。それではジャパンカップ展望、まいります。



 天皇賞(秋)の走りを見せられてようやくキタサンブラックを”強い”と認めた私。指数面で振り返っても前走のレベルは極めて高く、惨敗だった宝塚記念から見事に立て直し成ったという印象を受けました。
 春には大阪杯でも同等のレベルで勝利しており、その後は天皇賞(春)においても相当にハイレベルな内容での勝利。これまでの戦績を振り返っても”叩き2戦目”までは非常に濃い走りを見せてきています。
 そう考えると、今回もその”叩き2戦目”……
状態は更に万全と考えたくなるものですが、今回に関してはハイレベルだった休み明け初戦が、史上例を見ないほどの不良馬場だった、というのがややこしい点。
 キタサンブラックも強いと言えどやはり生き物。天皇賞(春)において、3200mという長距離をレコードで一杯に走り切った次走・宝塚記念があの結果でしたから、どう見ても負担の大きそうな馬場で一杯に走った後の”叩き2戦目”を今までと同じように考えてもいいものか、非常に判断に迷うところ。最終追い切りも今までになく軽めの内容でしたし、走ってみないと分からない部分がどうしても残ってしまいます。
 が、陣営からしてトーンが下がり気味だった宝塚記念時に比べると、今回はそこまで出来落ちを不安視するような声は挙がっていません。最も本馬を知っている陣営のこうした雰囲気を信じるならば、今回も力を十分に発揮できる状態なはず。流石の私も今回は無印というわけにはいかないなぁと感じています。

 判断の難しさは天皇賞(秋)で2着だったサトノクラウンも同様。
 本馬は以前から言われていたように、極端な道悪巧者。今年は良馬場だった大阪杯を除けば、渋った馬場で3戦2勝2着1回と非常に安定且つハイレベルな走りを見せています。
 が、問題は”このパフォーマンスが道悪限定なのか”という点。確かに国内における良馬場ではあまり結果が出ていないのですが、3歳時のダービーでは2分23秒台の決着で3着に入っていたり、昨年の香港では良馬場専用機とも言える海外の強豪・ハイランドリールを下していたりと、”道悪でなければ走れない”というわけではなさそうな面も見えます。今年唯一連に絡めなかった大阪杯も、レースレベルとしては十分なものを刻んでいますし、単純に馬が本格化していると考えることもできるでしょう。
 注目されていた鞍上もノリにノッているM・デムーロ騎手に決まったようですし、最終週の2400mという条件も合っていそう。追い切りの動きはアテにならない馬なので参考程度として、あとは当日のテンションが鍵になるでしょう。パドックや返し馬でしっかりと落ち着けているようなら、近走と同等の走りができるのではないでしょうか。

 天皇賞(秋)の結果だけを見れば、この2頭が抜けて強いように映りますが、人気面で2頭に割って入りそうな雰囲気なのが、今年のダービー馬・レイデオロ
 神戸新聞杯快勝後は菊花賞にも天皇賞(秋)にも目もくれず、ここ一本に絞っての調整。結果的に極悪馬場且つタフな流れだったレースをスキップできたというのはかなり大きいかもしれません。
 また、先日のマイルCSでペルシアンナイトが勝つなど、今秋は3歳馬の活躍が顕著。それだけに、世代の総大将と言える本馬に人気が集まるのは自然な流れと言えるでしょう。
 しかしながら、今回のような王道路線においても3歳馬がすぐ通用するかというと、個人的にはかなり疑問。先日のアルゼンチン共和国杯でダービー2着のスワーヴリチャードが完勝してはいますが、刻んだレースレベルは近年の同レースと比べるとかなり低調なもの。見た目は鮮やかでも、内容的にはいまひとつな感が拭えませんでした。
 振り返れば本馬の勝ったダービーも、スロー過ぎる特殊な流れだったとは言え、近年では最も低いレベルでの決着。マイルや牝馬路線では古馬勢の層が比較的薄かった分3歳馬でも互角以上に走れましたが、古馬勢の層が厚いこの路線で好走するのはそう簡単ではないでしょう。

 それならば、同じ3歳馬でも牝馬のソウルスターリングの方が妙味はありそう。
 毎日王冠天皇賞(秋)はいずれも古馬の壁に跳ね返された格好になってしまいましたが、毎日王冠では慣れない逃げ戦法で失速、天皇賞(秋)では超の付く極悪馬場と、どこか噛み合わない……不運とも言える敗戦だったと思います。
 当レースは斤量面で有利な牝馬の奮闘が目立ちますが、中でも53kgの斤量で走ることのできる3歳牝馬は、一見すると少し足りなそうな馬でも見せ場を作ってきています。
 春の時点での本馬のベストパフォーマンスは間違いなくオークスであり、その舞台は今回と同じ東京2400m。強い勝ち方を見せたことのある舞台で良~稍重くらいの馬場状態ならば、ここ2戦とはまた違った走りが期待できるのではないでしょうか。

 同舞台で強い競馬を見せたことがあると言えば、忘れてはならないのが昨年のダービー馬・マカヒキ
 昨秋の凱旋門賞惨敗後は何とも煮え切らない結果が続いていますが、京都記念ではサトノクラウンと0.2秒差、大阪杯ではキタサンブラックと0.4秒差と、着差だけ見れば極端に衰えたという印象はありません。
 この秋もなかなか内容が上向いていませんが、調教内容からしてややちぐはぐだったここ2走と比べると、この中間は本馬がノッていた時に近い調整過程。動きもその頃を彷彿とさせる素晴らしいもので、状態面での上積みはかなり大きそう。
 血統的に最終週の2400mという条件はスタミナ面でやや不安が残るものの、出来の良さを生かしての圏内突入があっても不思議ではないでしょう。

 もう1頭、出来の良さが目立っているのがヤマカツエース
 東京コースでは全く結果が出ていないだけに、今回はかなり人気を落とすことになりそうですが、昨年末~今春にかけての地力強化は本物。前走の天皇賞(秋)は極端過ぎる馬場に脚を取られてしまいましたが、父キングカメハメハ×母父グラスワンダーという血統面からは、コースも距離も守備範囲。良馬場に近い状態ならば東京でも結果を出せると思います。
 昨夏に夏負けしていたり、急上昇を見せたのが昨年の今ぐらいの時期だったことを考えると、気温が低い方が走れる”冬馬”の可能性を感じますし、配当を期待するならば面白い存在と言えるのでは。

 反対に、実績上位でも調教内容が煮え切らないのがシュヴァルグラン
 元々調教で凄く動く!というタイプではないのですが、それでも春の時点では別馬のように動いており、状態の良さを自らアピールしていました。が、この秋は中間も直前追い切りもそれほど目立たない……良くも悪くもいつもの本馬に戻ってしまっている印象。キタサンブラックを追い詰めた天皇賞(春)時と比べるとどうしても物足りなく映ってしまいます。
 とは言え、昨年の当レースでも同じような目立たない動きで3着まで押し上げていますし、2400mでは常に馬券圏内を確保しているのは事実。少なからず状態面に影響を与えそうだった天皇賞(秋)をスキップしているのも有利な材料ですし、調教の動きには目を瞑って狙ってみるのも一つの手と言えるかもしれません。

 あと1頭、日本馬で触れておきたいのがレインボーライン
 いかにも道悪巧者な血統の持ち主で、天皇賞(秋)の3着は適性差によるものと思われがちですが、昨年の当レースでは直線でスムーズに追えない状態に陥りながらも最後までしぶとく伸び続け、勝ったキタサンブラックとは僅か0.6秒差。後方から進む脚質な分、不発や不利も多い馬ですが、馬場状態問わずG1好走できるだけの力は秘めています。
 近年の当レースにおいて波乱を演出した伏兵は、本馬のような”タフさ”を感じさせる戦績や血統の馬が多いだけに、今回も警戒が必要そう。

 最後に、海外馬達にも触れていきましょう。
 近走の実績では最上位と言えるドイツ馬・ギニョールは、元々ペースメーカー的存在だったという変わり種の逃げ馬。日本の総大将・キタサンブラックに近い脚質であるが故に、かなり厳しい戦いを強いられそうですが、普段背負っている60kgという斤量が57kgに変わるだけでも、かなり粘りが増しそうな印象。
 しかし、血統を見るとやはり欧州馬らしく重苦しい構成をしており、日本の馬場に対する適性は疑問符を付けざるを得ません。同父系の一流馬シーザスターズの産駒が日本で全く結果を出せていないという点や、同父産駒のエイブルワンが07年の安田記念で大敗しているという点からも、強気になれないというのが正直なところ。

 昨年に引き続きの出走となるイキートスも血統のイメージとしてはギニョールと似たようなものなのですが、こちらは昨年直線で一瞬見せ場を作ったようにある程度日本の馬場をこなすタイプ。
 とは言え、”日本の馬場が合う”と言うよりは、410kg台の非常に小柄な馬であるが故に、母国よりもかなり軽い馬場で、尚且つ軽い斤量で走れたという点が大きかったのではと考えています。
 しかし、今年に入ってからは勝ち星こそ一つだけですが、フランスの凱旋門賞を除けば全て連に絡んでいるという堅実な成績を刻んでおり、昨年よりも地力はアップしている印象。今年の海外馬で圏内突入の可能性が一番高いのは本馬なのではないでしょうか。

 血統面でどんな結果になるか注目されるのが、アイルランドのアイダホ
 世界各国でG1を6勝もしている名馬・ハイランドリールの全弟にあたります。
 サトノクラウンの項でも触れている通り、そのハイランドリールは欧州馬にしては珍しく堅くて軽い馬場を得意としており、重馬場になりそうなレースは回避するという徹底ぶり。こうした個性を持つ兄と全く同じ血を持っていることから、日本の馬場向きと判断されての参戦なのでしょう。
 戦績を見てみると、実際に本馬も堅い馬場の方が得意そうなのですが、条件が合いそうなレースでもコロコロと負けているように、単純に能力が足りていないようにも映りますし、父ガリレオの血を引く馬は、更に一代経たソウルスターリングが活躍している程度で、日本の馬場における適性という点では心許なさが残ります。
 前述のイキートス同様、実は母国では適性が合わず走り切れていなかった……という可能性もゼロではないと思いますが、強気に推せるほどのインパクトは感じられません。

 残る1頭はオーストラリアのブームタイム
 オーストラリア産馬と言えば、過去にサイレントウィットネステイクオーバーターゲット、ウルトラファンタジーと、日本のG1を制した馬が複数頭存在します。
 近年では日本からオーストラリアへ遠征、もしくは移籍して結果を残す馬もいるように、馬場の質としては両国近いものがあると思われます。
 が、結果を出した上記の3頭はいずれもスプリンター。中長距離というカテゴリにおいては、日本の方が全体的にレベルが高いと見ています。
 本馬は母国の同路線でもそう目立った存在ではなく、血統も2400mどころかマイル近辺の方が合っていそうな、どこかちぐはぐなイメージを感じさせる馬。苦戦必至という印象です。



 恐らくですが、天皇賞(秋)がパンパンの良馬場での開催であったならば、私はここで初めてキタサンブラックに本命を打っていたように思うのです。
 しかし実際は、とんでもない雨の中の開催だったわけで。
 その事実が頭の中をよぎる度、「あんな中で全力疾走すれば超疲れるじゃん?」→「キタサンブラックだって疲れるじゃん?」→「じゃあ他の馬狙った方がオイシイんじゃね?」という風に、どんどんどんどん思考が欲望に侵されていくのです。
 このままの勢いだと、当日までに私の心は完全に腐ること必至。
 どうにか冷静さを保ち、公平な目で、自然体で当日の予想を行いタイなァと思っテいまス。
 サテ、ドノ馬ガ美味シソウカナー(もう割と手遅れ)。


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○執筆者プロフィール
霧(きり)
 ウマニティには2008年3月から参加。2010年に馬券スタイルを転換すると、高配当馬券の量産モードに突入。25週間にわたり予想コロシアムの最高位「キング・オブ・コロシアム」の座に君臨するという前人未踏の偉業を達成した。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2014年まで連載の“濃霧注意報”コラムも人気が高く、分かりやすく読みやすい文章にも定評がある。


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