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濃霧注意報~ジャパンカップ(2014年)展望~

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先週は週中から所用のためお出掛け。久しぶりに首都圏各地に足を運んできました。
その中で土曜の午後の数時間だけ自由時間が出来たので、東京競馬場へふらりと。
僅かな間ではありましたが、府中の広々とした雰囲気を久しぶりに味わい、リフレッシュ出来た気がします。
大型ターフビジョンに"ウマニティ予想検討会"としてスガダイさんやまんでがんさん、夢月さんの顔がどどーんと出ていたりして、ちょっぴり不思議な気分にもなりましたが。
そういえばその翌日が公式オフ会だったのですよねぇ。遠方在住であるが故になかなか顔を出せないでいますが、あの空気も久々に味わいたいなぁとも思ったり。
一人でマイペースで楽しむ競馬も悪くなかったですが、やっぱり皆でわいわいしてた方が盛り上がりますよね。

そんなこんなでコラムは1週お休みさせて頂きましたが、今週はちゃんと書きます。
何しろ今週のメインはジャパンカップ。年末の有馬記念と同等か、それ以上に盛り上がるレースですものね。
予想的には非常に難解なメンバー構成となっていますが、どの馬が上位に飛び込んでくるでしょうか。

人気面で1~2番を譲らないと思われるのは、当レース三連覇を狙うジェンティルドンナ
宝塚記念以来の実戦だった天皇賞・秋でもきっちりと馬券圏内を確保し、変わらぬ存在感を見せ付けています。
今年は京都記念宝塚記念の惨敗などもあり、前2年ほどの勢いは感じないものの、"左回りの2400m"への適性の高さは依然として脅威。
一度叩かれた上積みもありそうですし、極端に崩れるということはなさそう。
しかし、だからと言って楽に勝ち切るかというと話は別。同一G1三連覇というのは相当に高い壁だと思います。
天皇賞時も指摘しましたが、5歳牝馬が3歳や4歳時ほどの状態まで至るのは難しいと思えるだけに……。

そんな女王を止めるべく、今年は3歳のクラシックホースがここに集結。
中でも最も人気を集めそうなのは、桜花賞馬のハープスターでしょう。
前走の凱旋門賞では日本馬最先着となる6着、前々走の札幌記念ではゴールドシップを抑えて勝利するなど、3歳牝馬らしからぬ逞しさを発揮しています。
個人的にはテンに行けない脚質もあり、そこまで高い評価はしていなかった馬なのですが、それでも札幌記念の勝ちっぷりにはびっくり。
かなり展開に恵まれた面はありましたが、ゴールドシップを抑え込むというのはなかなか出来ない芸当です。
この時と同じだけの走りが出来れば十分に勝ち負けに持ち込めると思える反面、オークスで同世代のヌーヴォレコルトにも先着を許しているように、今回の舞台がベストとは言えないという考えがあるのも確か。
近年の東京は本馬のような追い込み馬には極めて厳しい馬場傾向になることが多いだけに、オッズほどの信頼度があるかどうか……。
海外遠征明けという、決して楽ではない臨戦過程なのも少し引っ掛かるポイントですね。

皐月賞イスラボニータは、前走の天皇賞が惜しい内容。
不利な外枠だったために序盤で好位置を狙わざるを得ず、結果として早めに先頭に立つこととなり、馬が気を抜いてしまった様子。
枠がもう少し内側で、しっかり脚を溜めることが出来ていればもっと際どかったでしょう。
春の時点ではマイラー色の濃い血統を不安視されていましたが、クラシック2戦や前走の内容からも、2400mなら問題なく戦えそう。
過去に3歳で当レースに挑み、上位に入った馬達と比較しても何ら遜色ないパフォーマンスを発揮し続けているので、ここでも上位争いは可能でしょう。
何となくG1になると善戦マンになりそうな雰囲気を感じますが、主戦の蛯名騎手に手が替わってどこまでやれるか。

今回と同じ舞台のダービーでこのイスラボニータを抑えているのがワンアンドオンリー
前走の菊花賞は見せ場なく敗れましたが、レース前から非常にテンションが高く、発汗の激しさが目立ちました。
母系の血統からくる距離の限界もあったのでしょうが、それ以上に平常心で臨めなかったのが敗因と思えます。
"ダービー馬"という称号の割に、安定感や凄みよりも掴み所の無さの方が目立つ現状ですが、自身も父のハーツクライもこの舞台とは深い縁があります。
適性的に微妙だった前走の条件よりはだいぶ走り易いでしょう。
ただ、未だに残る不器用さはやはり心配。ダービーのようにいかに道中のロスを少なく出来るかが鍵となるでしょう。
この点で、ど真ん中の枠がどう影響するか……判断が難しいですね。

彼らよりも1つ上の4歳で特に注目を集めそうなのがエピファネイア
半年ぶりの実戦だった天皇賞では、スタートから4コーナー辺りまでずっと掛かり通し。
以前から気性の難しい馬でしたが、これまでで最も酷い掛かり方であるように映りました。
道中がそんな状態でありながら勝ち馬とは僅かに0.2秒差なのですから、着順以上に評価出来る一戦だったと思います。
今回は前走時ほど調教で強く追われておらず、ソフトな仕上げ。
昨秋の神戸新聞杯菊花賞もこんな感じの仕上げ方でしたから、本馬に合う調整方法なのかもしれません。
実戦を一叩きされてのガス抜き効果もありそうですし、あのオルフェーヴルも難なく乗りこなしたスミヨン騎手への乗り替わりも不気味。
好位でぴたりと折り合えるようならば非常に怖い存在と言えるでしょう。

同じく4歳の昨年2着馬・デニムアンドルビーも順調な仕上がり。
昨年よりも相手は揃っていますが、本馬自身、昨年よりも今年の方が内容の濃い走りをしています。
前走の天皇賞では進路があかずに脚を余しましたが、それでも差は僅か。展開一つで浮上してくる可能性は十分にあるでしょう。
以前から難のあるスタート次第な面もありますが、発馬五分で内目で脚を溜める形なら面白いと思います。

今回の有力馬の多くを天皇賞で撃破したのがスピルバーグ
決して外が有利とはいえない馬場傾向の中、勝負所から常に大外を通って差し切ったのは立派の一言。
今回は3歳時以来の2400m戦となりますが、元々派手に掛かるタイプではない上に、全兄がマイル~3200mまでこなしているトーセンラー
本馬も得意の舞台であれば距離不問なように映ります。
ただ、今年の天皇賞は例年よりもかなりレースレベルが低く、本馬の勝利を素直に評価していいのかは悩むところ。
好枠だった前走から一転、今回はかなり外目の枠を引いてしまいましたし、再度このメンバーを差し切るには相当な破壊力が必要な気がします。
前走の内容を"ホンモノ"と見るか、"ハマった"と見るかで評価は分かれそう。

同じく外枠を引いてしまったフェノーメノも評価の難しい1頭。
春の天皇賞の走りが示す通り、叩かれての一変があり得る馬ですが、それを踏まえても前走は負けすぎな感。
これまでどんなに状態が悪くとも、二桁着順という大崩れはなかった馬なだけに余計に気がかりです。
調教の動きも良い頃に比べると重く、叩かれての上積みもそう大きくは感じません。
ただ、春の時も悪い流れから一変して見せた馬ですし、父系も母系も意外性を秘める血統。
まともに走った時のパフォーマンスの高さはこのメンバーでも1、2位を争いますから、極端に人気が落ちそうな今回は、逆に妙味ある存在と言えるかもしれません。

状態面が鍵になるのはジャスタウェイ
ハープスターと同じく海外遠征明けとなりますが、ド迫力の調教をこなしていた春に比べると、この中間は少々寂しい動き。
完調には至っていないという印象を強く感じます。
それでも昨秋~昨春の覚醒っぷりを考えると軽視はしづらいですが、非常にタフな馬場と展開だった安田記念、そして欧州遠征と、馬にとってダメージの大きそうな出来事が続いたのは事実。
まだ良績のない2400mという距離も含めて、今回は彼にとって試練の一戦となりそう。
マイナス材料ばかりが目に付く今回で昨秋や今春と同じ走りが出来るならば、今後はもう逆らえないでしょう。
今回馬券を買う、買わないに関わらず、"世界1位"の走りには注目が必要そうです。

穴っぽいところでは近走で"掲示板の番人"と化しているヒットザターゲット
前走の天皇賞では直線で大きく外に出すロスがありながら、最後はスピルバーグと遜色ない脚色で追い上げていました。
今年に入って大きく崩れたのは明らかに条件の合わなかった天皇賞・春だけで、後は全部4~5着。
もう1つ2つピースが噛み合えば馬券圏内に飛び込むだけの力を付けています。
昨年の当レースでも早めに動く形で見せ場を作りましたし、本来の溜めて運ぶ形ならもう少し差は詰まるかも。

最後に触れておきたいのは、やはり海外馬。
頭数こそ少ないですが、なかなか面白い実績の持ち主達が揃っていると思います。

ドイツのクラシックディスタンスでトップを張るアイヴァンホウ。
レースぶりを見てもかなり末脚のしっかりした馬で、相当な馬力を感じさせます。
父のソルジャーホロウは欧州ではお馴染みのサドラーズウェルズ系の血を引く種牡馬で、母系の血統も欧州馬らしく重厚なもの。
2400mの勝ちタイムが2分40秒近いという、日本とは全く別物の芝で実績を積み重ねてきた点からも、日本の高速馬場への対応力が鍵となります。ハープスターらが出走した凱旋門賞は18着で、勝ち時計が2分26秒台のレースでも対応出来なかった辺り、少々厳しいイメージの方が強いですが……。
でも、末脚の破壊力は印象的なんですよねぇ。

昨年の愛ダービー馬トレーディングレザーも実績は十分。
昨夏から勝ち切れないレースが続いているものの、欧州の一線級レースでも崩れず走っています。
本馬の父テオフィロも、アイヴァンホウの父ソルジャーホロウと同じサドラーズウェルズ系の種牡馬なのですが、こちらは比較的スピード色の濃いタイプ。母系の血統こそ欧州馬らしい重厚なものですが、愛ダービーで2分27秒台、キングジョージで2分25秒台の時計に対応しているように、アイヴァンホウよりは高速馬場への適性はありそう。
ここ3戦60.5kgという斤量を背負っている馬が57kgで走れるというのも大きそうで、今回の海外馬の中では最も上位評価をしていいのではないでしょうか。
大外枠という厳しい条件になってはいますが、逃げに近い先行脚質の持ち主なため、今回のメンバーならそこまでロスはなく運べる可能性があります。上手く内ラチ沿いにハマるような展開になれば、東京の馬場傾向を生かしての粘り込みがあるかも。

カナダから参戦のアップウィズザバーズは、上記2頭に比べると実績的にだいぶ落ちる印象。
近年の北米芝路線のレベルはお世辞にも高いとは言えないだけに、今回のメンバー相手では強気にはなれません。
血統内には日本でもお馴染みのストームキャットやシーキングザゴールドといった名前が並んでいますが、2400m向きの血とは言えず。
日本の馬場向きの軽さは認めても、本領発揮はこの距離ではないと思います。



こうして挙げてみると、やはり中心は日本馬……特に今回名前を挙げた馬達なのかなという印象です。
ただ、その日本馬のレベルが非常に拮抗しており、予想には非常に迷いそう。
人気はジェンティルドンナハープスターが持って行きそうですが、実力に殆ど差はなく、見た目以上の混戦になると思います。
実績か、順調度か、変わり身か……どれを重視するかで、中心となる馬も変わってきそうですね。

私は今のところ……"変わり身"に期待したい派かなぁ。

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