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濃霧注意報~天皇賞・春(2014年)展望~

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私が競馬を見始めた十数年前は、とことん堅いイメージのあった天皇賞・春。
ですが、ここ数年はそんなイメージが吹っ飛んでしまうほど難しい結果が続いています。
昨年はゴールドシップが、一昨年はオルフェーヴルが、共に単勝オッズ1.3倍という圧倒的人気を集めながら圏外に敗れました。
過去のレースまで遡ってみても、1番人気馬が勝ったのは06年のディープインパクトが最後。
近5年に至っては3着以内にすら入っていないという、人気馬にとってはありがたくない傾向が続いています。
今年も人気の有無がはっきりと分かれそうなメンバー構成ですが、これを素直に信頼しても良いものなのかどうか。
前述の単勝1倍台の2頭にぽこぽこと飛ばれてしまった後なだけに、余計に疑心暗鬼になってしまいますよね。

そんな中、今回1番人気を背負うことになりそうなのが、昨年のダービー馬・キズナ
今年初戦の産経大阪杯を快勝し、勢いに乗って盾獲りに臨みます。
が、頭をよぎるのは昨年の当レースにおけるゴールドシップの姿。
彼と同じく前哨戦快勝後の追い込み馬ということで、どこかでポカがあるのではないかと疑ってしまいます。
特に、今の時期の京都芝は超の字の付く高速馬場。とにかく先行した馬や内をロスなく立ち回った馬が止まりません。
後方待機策から勝負所で外を回った馬が伸びあぐねるシーンはこれまでに何度も見てきましたし、
3200mという長丁場でいつものように突き抜けられるかというとやはり不安が残ります。

しかし、この脚質に目を瞑れば、本馬の持つ血統は高速馬場でこそ真価が発揮されそうな構成。
母系の血統がそこまでスタミナ寄りではない分、3200mという距離自体は適性外というイメージが強いですが、
軽い芝、時計の速い馬場への適性に関しては何ら心配することはないでしょう。
あとは、外目の枠からいかにしてロスの無い競馬をするか。武豊騎手の手綱捌きにも注目したいところです。

このキズナに人気面で続きそうなのはゴールドシップ
実績が示す通り能力上位なのは疑いようがないのですが、昨年の当レース、京都大賞典ジャパンカップ
更に遡れば3歳時の日本ダービーと、所謂"軽いスピードが要求される舞台"で連を外しているのはやはり気になります。
既にこの時期の京都芝や東京の芝で実績を挙げているキズナと比べると、高速決着への適性は劣ってしまいそう。
しかし、前走の阪神大賞典時はこれまでになく調教の動きが軽快で、レースでも掛かるほどの行きっぷりを見せていました。
この中間の動きから見ても、昨年よりも状態はかなり良くなっている印象で、これなら……と思わせる雰囲気があります。
少なくとも、スランプに陥っていた昨秋とは別馬と見て良いのではないでしょうか。

状態面に問題がないとなれば、あとはレースに行って流れに乗れるかどうかだけ。
基本的に京都が向かないというのはもう間違いないですし、昨年までのような大雑把な競馬ではやはり厳しいでしょう。
前走のようにそこそこの位置でロスなく運ぶのがベストだと思いますが、多頭数の今回は前走と全く同じとはいかなそう。
幸いにも内目の枠を引くことが出来ましたし、中団くらいのインで運べれば合格と言えるのではないでしょうか。
積極的な競馬が目立つウィリアムズ騎手ならば、そうした競馬をしてくれそうな気がします。

この2頭と共に"3強"の一角となるのが、日経賞で久々の勝ち星を挙げたウインバリアシオン
昨年の有馬記念ではオルフェーヴルに千切られてしまいましたが、これは勝ち馬が強すぎただけ。
本馬自身の走りも例年ならば十分に勝ち負けに持ち込めるレベルだったと思います。
前走の日経賞も勝負どころで外からひとマクり。
外を回すと厳しくなりがちな舞台でこんな走りをされては、今回も評価を落とすわけにはいきません。
ハーツクライ産駒の牡馬はとにかく長距離でよく走りますし、本馬自身既にこの舞台での実績(12年3着)があります。
当時よりも強気に動けるようになった今ならば、今度は勝ち負けになってもおかしくないでしょう。
調教の動きからも引き続き状態は良さそうですし、3強の中では最も安心して印を打てる馬だと思います。

……が、ご存知の通りコンビを組む予定だった岩田騎手が騎乗停止になってしまったのは大きな痛手。
3200mという特殊な舞台で、シュタルケ騎手がどこまで本馬の力を引き出せるかが鍵となります。
先週のマイラーズCのワールドエースのように、本馬の完全復活も後押ししてくれれば。

ここまでの3頭を追う形になりそうなのが、昨年の覇者・フェノーメノ
復帰戦の日経賞で5着と力は見せましたが、しっかりと勝ち切った昨年に比べるとレースレベルはかなり下。
その後も時計こそ出していますが、馬なり中心の調整で、昨年ほどは攻められていない印象が強いです。
それでも、高速馬場への適性や安定感のある脚質などは3強と比較しても強気になれるもの。
休み明け初戦~叩き2戦目までがベストの馬ですし、一気に変わるとしたら今回かも。
数年前まではリピーターが走り易い傾向のあったレースでもありますし、本馬の評価には非常に悩みます。

悩むと言えば、どんな戦法を仕掛けてくるか分からない横山典弘騎手とコンビを組むデスペラード
以前は追い込み一辺倒の馬でしたが、昨年末のステイヤーズSでは先行して楽々押し切り、
前走の京都記念ではなんと逃げる形での快勝。ここに来てレースぶりにかなり幅が出てきています。
しかし、今回は多頭数の上に大外枠ということで、前走以上に強気に逃げるか追い込むか、かなり極端な競馬を強いられそう。
いずれにせよ、前走ほど楽な形で競馬はさせてもらえないでしょう。
元々京都のような軽いスピードの生きる舞台よりも、スタミナの生きる阪神や中山向きという感じのする馬ですし、
今回は好走馬のイメージからズレてしまうというのが正直なところです。

昨年3着の海外馬・レッドカドーもあまり強気にはなれない1頭。
遅咲きの馬だとは言え、昨年は結局未勝利に終わるなど、成績は緩やかに降下中。
近年の当レースの結果からも、8歳という高齢馬が前年よりも着順を上げ、尚且つ馬券に絡むというのは例がないだけに、
昨年と同等かそれ以上の走りを望むのは酷な気がします。
昨年4着のアドマイヤラクティもまた、良くも悪くも相手なりという印象の馬。
内目でロスなく運べれば圏内に入るだけの力はありますが、今回の枠だと少々走りづらそう。

それならば、比較的フレッシュな組に注目してみるのも手でしょう。
中でも気になるのは、内枠を引いた日経新春杯経由組……サトノノブレスアドマイヤフライト
サトノノブレスは前走の阪神大賞典で敗れていますが、血統的に絶対的なスタミナを問われる舞台では分が悪い馬。
同じ長距離戦でも軽いスピードの生きる京都の方が圧倒的に走り易いでしょう。
日経新春杯で大きく増えていた馬体重が殆ど変わっていなかったように、まだ余裕残しだった印象もあります。
少し絞れればもっと動ける可能性がありますし、パドックでの気配や馬体重には注目しておきたいところ。

アドマイヤフライトは前走の日経賞で惨敗を喫していますが、終始力み気味の追走だった上、
小回りのコース形態やボコボコした馬場を気にしているような、ちぐはぐな走りだったように映りました。
ゆったりと走れるコースと綺麗な馬場状態ではまだ底を見せていませんし、今回の舞台変更は大きなプラス。
父のマンハッタンカフェも中山の日経賞で敗れてから本番で一気に巻き返しているだけに、本馬にも一変を期待。



う、うーん……。
先々週の皐月賞ほど群雄割拠という感じのオッズにはならないはずなのに、同程度の悩ましさを覚えるのは私だけでしょうか。
ここ2年の結果や、近年の京都芝の状態から、3強が全員後ろから行くタイプだというのが引っ掛かっているのだと思うのです。
かと言って、2年前のビートブラック勝利時のような展開になるとも思えず。今のところ予想は全くの白紙です。
荒れる時は派手な荒れ方をしているレースですので、敢えて強気に穴狙いしてみるのも手ですかねぇ。
どんな狙い方をするにせよ、ドキドキする時間が他のレースよりも長い長距離戦です。
直線まで、いや、出来ればゴールまでドキドキさせてくれる馬を本命に抜擢したいところですよね。

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