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栗山求「ボビー・フランケル調教師とジャパンC」

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栗山求「ボビー・フランケル調教師とジャパンC」 | コラム | ウマニティ

11月16日、アメリカの名調教師ボビー・フランケルが亡くなった。68歳。04年の米年度代表馬ゴーストザッパーを始め多くのチャンピオンを管理し、すでに95年に殿堂入りを果たしている。アメリカの競馬界では指折りのビッグネームだが、日本においてもよく知られた名前だった。

 ジャパンCは今年29回目を迎える。過去28回の歴史のなかで、最も多くの管理馬を出走させた調教師は藤沢和雄(12回)。2番目は、なにを隠そう、このボビー・フランケルなのだ(11回)。88年に出走させたペイザバトラーは、1番人気のタマモクロスを差し切って優勝。筆者は当時、タマモクロスの勝利を確信していたので、アメリカでG2勝ちの実績しかない馬があっさりと勝ってしまったのは衝撃的だった。当時のボビー・フランケルは、若々しくエネルギッシュで、いかにもやり手という印象だった。近年は白髪になってさすがに年をとった感があった。

 ボビー・フランケルは、ヨーロッパや南米、ときにはオセアニアから金銭トレードで馬を獲得し、活躍させるのが得意技だった。前出のペイザバトラーはもともとフランスで走っていた馬である。81年のペティテート、87年のイアデス、94年のレイントラップ、93年のルアズー、05年のキングスドラマもフランスからの移籍馬。92年のクエストフォーフェイムはイギリス。00、01年のティンボロアはイタリア。こうしてみると、生え抜きのアメリカ馬はほとんどいないことがわかる。

 もちろん、ボビー・フランケル厩舎には、外国出身馬だけが在籍しているわけではない。ヨーロッパからやってきた中長距離馬のレース選択を考えたときに、ブリーダーズCターフほどレベルが高くなく、しかしそれに負けないくらいの高額賞金レースであるジャパンCは魅力的だった、ということだろう。

 88年のジャパンCペイザバトラーで勝ったとき、『優駿』のインタビューに次のようなコメントを残している。
「私の理解しているペイザバトラーはかけ値なしのステイヤー。アメリカには前半からビュンビュンとばす短距離のレースが多いんですが、数少ない2400mのレースを選んで強くなってきた馬なんです」
 馬の個性に合った高額賞金レースがあれば、歴史や伝統に関係なく、世界のどこへでも飛んでいくというアメリカ流のプラグマティズムを体現した調教師だった。ドバイの国際競走にも繰り返し管理馬を送り込んでいることからもそれはわかる。

 近年は日本競馬のレベルも上がり、フランケル厩舎の所属馬は、出走しても2ケタ着順が定番だった。それでも、出走表のなかにフランケル厩舎の馬がいると、なぜかホッとしたものだ。筆者のなかでは晩秋の風物詩のようなものだった。長年にわたって日本の国際競走を盛り上げてくれた恩義に、ファンのひとりとして心から感謝したい。

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