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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~阪神ジュベナイルフィリーズ~

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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~阪神ジュベナイルフィリーズ

●第63回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)

アイムユアーズ
12月 7日 栗東坂       
52秒3-計 不ー25秒8-13秒1 強め
    
3ヶ月ぶりのファンタジーSを勝ったあとも元気にあふれ、中間、長短3本の時計を出している。とくに先週はメンディザバルが乗って7Fからの併せゲイコ、99秒4-39秒1-12秒6と意欲むき出し。そして、今週はといえば、単走とはいえテンから13秒台のラップを刻み、最後強めで別掲の好タイム。いかにも決め手がありそうな軽快な動きでゴール板を駆け抜け、前走以上はあっても以下はないと言い切れる、絶好の最終追い切りだった。むろん、栗東入厩当初に見られたいらつきもいまはすっかり影を潜めている。

 
アナスタシアブルー
12月 7日 栗東W 
81秒9-65秒6-50秒6-37秒5-12秒5 馬なり
    
デビュー戦の勝ちっぷりがあまりに良かっただけに、前走の1番人気4着は解せないが、伸びそうで伸びなかったあたり、距離1800メートルが長すぎたか。今週は実戦並みの3頭併せ、古馬2頭がいっぱいに追うのを尻目に引っ張ったきり、結局追ったところなしで2馬身も先着してしまった。これを見ても走る能力はある。デビュー戦と同じ1600メートルに戻るし、一考を要したい。

 
アラフネ
12月 7日 美浦W        
67秒2-52秒4-38秒9-14秒3 叩一杯
    
2連勝のあとは放牧に出て、美浦帰厩は1ヶ月以上も前、坂路、ウッドを併用して時計6本と乗り込んできた。30日には併せ馬で叩いていっぱいに追い切っている。今週も2歳の牝馬としては珍しい、4コーナーを回るともう手が動くいっぱいの追い切り。それだけ元気がいいのだろうが、お世辞にも動きは軽快とはいえず、ステッキ4発にも反応が鈍かった。馬体に太め感はないので、この内容は気性的なものなのかもしれないが、いずれにしてもラスト1F14秒3もかかっては気にかかる。札幌のすずらん賞当時は12秒台でまとめていただけになおさらだ。また、寸の詰まった体形から距離延長もプラスとはいえない。

 
アンチュラス
12月 7日 栗東W        
67秒3-52秒5ー38秒8-11秒7 馬なり
    
まだ1勝馬ではあるが、前走のファンタジーSで2着し、賞金を加算しオープン入りを果たしている。この馬のいいところはスッと好位、流れによっては先行もできる器用さ、自在さがあること。今週はウッドコースで終始馬なり。ブレのないきれいなフォームでご覧の切れ味だったが、ちょっぴり気になるのは458→452→448キロと1戦ごとに体重が減ってきていること。これ以上減るようだと黄信号が灯るのでチエックを怠るまい。 

 
イチオクノホシ
12月 7日 栗東P              
50秒1-36秒7-11秒7 仕掛け
    
2連勝はともに2着馬に1馬身以上、2馬身近い差をつける完勝。まだまったく底をみせていない。2ヶ月近い間隔があいた今回はカリカリした気性を考え、11月17日に早々と栗東入り、美浦在厩時を含めると5本の時計が出ている。最終追い切りは相手馬の追い出しを待ってあとから追い出しにかかりあっさりの先着、ポリトラックの短めからとはいえ、余力残しでこの時計ならいうことなし。イレ込みが心配される馬ではあるが、よほどでなければ好勝負。

 
エイシンキンチェム
12月 7日 栗東坂        
52秒8-38秒0-24秒7-12秒2 G一杯
    
3ヶ月ぶりのファンタジーSは体重10キロ増、多少なりとも重かったのだろう、肝心の直線での伸びを欠いた。中間は坂路で時計6本の入念な乗り込み、おかげでムダ肉がとれ、目に見えて動きが軽くなってきた。今週は目いっぱいに追ったわけではないのにご覧の出色のタイム。とりわけ目を引いたのはラスト1Fの伸びで、ほとんどの馬が13秒前後かかったのに12秒2でまとめ、これでまだ余力を残していた、今度は2連勝のときのように弾けていい。

 
エピセアローム
12月 7日 栗東坂        
52秒2-38秒1-25秒1-12秒7 一杯追
    
デビュー戦こそ2着に負けたがその後2連勝し、今回は放牧明けの3ヶ月ぶり。11月9、16、23、30日と追い日ごとに時計を出し、先週の1週前が坂路52秒6-38秒5、仕上げ過程はすこぶる順調だ。今週の総仕上げは坂路での併せ馬、ラスト1Fからの追い比べで半馬身ちょっと遅れたが、別掲の時計なら心配なく、脚色にもまだ余裕があった。仕上げはこれでいい。

 
ガーネットチャーム
12月 7日 美浦芝       
67秒4-51秒8-38秒3-12秒3 馬なり
    
1戦1勝、未知の魅力はあるが、今週の追い切りを見ると前走前ととくに変わったところはない。相手馬と同じ馬なりで併入したが、脚色では劣っておりこの点からもさしたる進境なし。いきなりこのメンバーではきつい。

 
サウンドオブハート
12月 7日 美浦W        
72秒8-56秒3-40秒9-13秒5 馬なり
    
新馬→芙蓉Sを連勝したあとはすぐにここに目標を置き、放牧には出ず自厩舎での調整。まずは疲れをとることに専念し、時計を出し始めたのは10月も下旬(正確には30日)になってから。先週までに5本、11月10、17、24日と3週続けて速いところを行き、武豊が駆けつけた先週のウッド5F65秒9-50秒8-37秒7が事実上の最終追い切り。今週はもう体が出来上がったし、阪神への長距離輸送もあるので別掲の軽め、息を整える程度。前半、他厩舎の馬にからまれたが、掛かることなくスムースに走り、追ったところなしでゴール。時計は遅くてもこれは意識的にそうしたものだしまったく心配無用。それより、前脚がよく伸びて、トモの踏み込みも深く、弾むような、バネをきかせたフットワークが印象的で、少しでも追えばいくらでも速い時計が出せたに違いない。ここまでは何もかも順調、あとは輸送をクリアするのみ。イレ込んだりしなければ自ずと結果はついてくる。

 
ジョワドヴィーヴル
12月 7日 栗東W 
97秒8-66秒4-52秒6-39秒0-12秒7 一杯追
    
デビュー戦は遊びながらの勝利、ブエナビスタの下という素質だけで勝ったようなものだったが、簡単に初戦をクリアするあたり、やっぱり超良血馬は違う。中間、二度の併せ馬を消化し、実戦をひとたたきされたこともあってだいぶ走りに集中できるようになった。今週の併せ馬でもGOサインが出るとすぐさま反応、あっさり先着して見せた。追われると重心が下がるあたり姉をほうふつさせるし、この馬だけは1勝馬でも2戦めでGI制覇の大仕事をやってのける可能性がある。馬券的な妙味でいえば今回が一番。

 
スイートスズラン
12月 7日 栗東坂        
55秒1-40秒2-26秒7-13秒5 一杯追
     
前半ゆったりだったのに、このラスト1F、まったく追っての伸びがなかった。血統的にも筋の通った1戦1勝馬だが、今回は見送る。

 
トーセンベニザクラ
12月 7日 栗東W 
82秒0-67秒1-53秒4-39秒4-12秒3 G強め
    
勝ち上がるまでに5戦を要してしまったものの、つづく500万下の赤松賞も勝ち、もっか2連勝中だ。その前走では440キロとデビュー以来の最高を記録し、馬体の成長が好調の原動力になっている。12月1日の中間追い切りではさらに馬体をふっくらと見せ、ここにきてさらなる成長さえ感じる。今週は11月26日に栗東入りしてから二度めの追い切りだが追われると一直線に伸び、しまいの切れも反応の速さも上々、前2戦以上だ。

 
ナオミノユメ
12月 8日 栗東W 
85秒6-69秒1-53秒4-38秒6-11秒8 G一杯
    
初勝利をあげたあとも元気いっぱい、先々週と先週にウッドと坂路で2週つづけて速い時計を出している。今週はさすがに単走で上がり中心だったがそれでも1Fは12秒を切ってきたのだから合格点をやれるが、動きそのものは力んでいるというか、ムダなところに力を使い過ぎ、シャープさには欠けた。リラックスして走れるようになるにはまだまだ時間がかかる。

 
ファインチョイス
12月 7日 栗東W 
83秒8-68秒0-53秒0-38秒4-11秒7 直一杯
    
ファンタジーSは3ヶ月ぶり、体重がいっきょ14キロ増だったにしては0秒2差3着とよく動いた。心配された反動もなく、11月30日、モヤのなかでの1週前追い切りでは併走馬を4馬身切って捨て、ラスト1F11秒9の抜群のフィニッシュ。今週もまたCウッドでの併せ馬を敢行し、1Fを11秒7の速さで半馬身の先着。体がギリギリに見えるので前走以上とまではいかないが、前走時のデキは保っている。

 
プレノタート
12月 7日 栗東坂        
55秒6-40秒0-26秒2-13秒1 馬なり
    
前走で500万下平場を勝ち5戦2勝め、中間は時計2本、先週は単走ながら6Fから徐々にペースを上げ、最後いっぱいに追いラスト1F11秒5の切れ。これで九分通り仕上がった。このため今週はまったくの上がり中心でご覧の遅い時計。意識してそうしたのだからといえないこともないが、前半が15秒6、13秒8と遅くてこのラスト1Fはどうだろう。動きに切れも感じられなかったし、このあたりに物足りなさが残った。

 
マイネボヌール
12月 7日 栗東坂        
54秒1-39秒5-26秒0-12秒9 馬なり
    
前走、4戦めにしての初勝利ながら、スパッと切れて後方からの一気の差し切り、2馬身差の勝ちっぷりはハンパじゃなかった。これを立証するように今週の坂路でも動き軽快、しびれるような手ごたえだった。3着争いくらいには顔を出すかも。

 
ラシンティランテ
12月 7日 栗東坂         
53秒9-38秒9-25秒8-12秒8 仕掛け
    
白菊賞勝ちから中1週の強行軍、にもかかわらず今週は坂路で併せ馬を行い先着した。この時計が前走時より速いのだから、また、使われるごとに体重を増やしてきているのだから、調子の良さは疑う余地がないだろう。前走の勝ちっぷり、時計も申し分なかったし、主役をも張れる1頭とみなければなるまい。

 
レディーメグネイト
12月 7日 栗東坂         
51秒4-38秒4-26秒2-13秒5 G強め
    
2連勝のあとの前走・ファンタジーSが10着惨敗、このショックが気になったが、中間はまるで惨敗したのがウソのよう、元気はつらつとしている。11月24日に坂路52秒5-38秒5をマークしたのにつづき、先週はウッドでの6Fからの併せ馬で先着の82秒4-37秒0といった具合だ。かさにかかって別掲の好タイム、併走馬を1馬身突き放した。この元気さからは前走惨敗を度外視してよさそうだが、敗因が前半の飛ばしすぎにあったとすると、1600メートルに距離延長されて果たしてうまいこと折り合えるかどうか。そこがポイントになる。 



鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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