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GⅠメモリアル ~1990年 有馬記念~
大好きな馬が負ける姿をわざわざ見に行くべきか……。
中山競馬場に行くかどうか、迷っていた部分があった。
復活は絶対にない。おそらく、惨敗するだろう。うまくいって掲示板。勝つ可能性はゼロに等しい―――完全にあきらめていた。もう終わったものだと思っていた。
でも、現役最後の姿をこの目に焼き付けておかないと、ファンとして失礼だという気もした。引退式で最後のお別れをするつもりだけど、ラストランにはまた別の意味がある。現実をしっかり受け止めよう。
最終的に、中山競馬場で現地観戦する道を選んだ。
船橋法典へと向かう電車の中で、これまでをゆっくりと回想した。
衝撃のあまり「なんだこれ?」と思わずもらしてしまったニュージーランドT。テレビの前でガッツポーズをつくった2年前の有馬記念。ゴール前で息が止まりそうになったマイルCS。そして、最後の直線で大絶叫した1年前のジャパンカップ。黙って頷きながら楽勝ぶりを見守った安田記念……。
勝ったレースも、負けたレースも、すべてが鮮明によみがえってくる。レースのVTRは何度見たかわからない。それだけ好きだった。大げさでなく、さかのぼること数年の間、自分の人生の中心には常に彼がいた。
お昼過ぎ、競馬場に到着する。信じられないくらいに混んでいた。行きたい方向に歩けない。フェンス際には、メインまでそこを動かないことを決意したであろうファンの人垣が、幾重にも連なっている。
そこはもう、じっくりと競馬観戦をする場所ではなかった。戦場というか、お祭り会場というか……。当時の競馬場の混雑に慣れてはいたが、この日のギュウギュウぶりは想像のレベルをはるかに超えていた。
17万7779人。
いまだに破られることのない、中山競馬場の入場者数レコードである。自分もそのうちの1人だったわけだけど、よくもまぁそんなに集まったもんだと、いまさらながらに感心する。
勝てると思っていたのなら、徹夜をするなり朝一で向かうなりして「いい席」を確保していたところだが、負けるつもりでいたのでそこまでのモチベーションはなかった。
ひっそりレースを見守って、終わったら西門から出てサッと帰ろう……。
まだフェンス際に「空き」のあった4コーナーの芝生エリア付近に、有馬記念の2レース前あたりから陣取った。混雑を避けたわけではない。あきらめモードの自分には、メインステージから離れた場所がお似合いだと思ったのだ。
ファンファーレが鳴る。地鳴りのような歓声が起こる。意外にもドキドキ感はなかった。何度も繰り返すように、まったく期待していなかったからである。無事に回ってくればいい。本当にそれだけだった。
ゲートが開く。グッと唇をかみしめ、馬群に視線を送る。1周目は中団で折り合っている。この時点では、天皇賞やJCのように末脚が不発に終わると思っていた。ところが……。
2周目の4コーナー。ポジションは3~4番手。武豊騎手の手応えは楽。まさに目の前を、見慣れた白い馬体が馬なりのまま上がっていくではないか!
一瞬にして、心臓が肋骨を突き破って飛び出しそうになった。これはもしやと思い、「いけー!」と大声を出してからあとは、なにを口にしていたのかは覚えていない。気が狂いそうになりながら、言葉にならない言葉をひたすら叫び続けた。
そして、オグリキャップは先頭でゴール板を駆け抜けた。
奇跡が起こったのだ。
ファンファーレ時を超える大歓声にオグリコール。気付けば、隣にいた見知らぬオジサンとハイタッチをしていた。何人もの人と握手をした。ポロポロと涙がこぼれてきた。
文字通り、夢の中にいるようだった。
帰りの電車の中で感動の瞬間を思い起こし、目頭を熱くさせた。
翌日のスポーツ新聞を全紙買い込み、1紙読むたびに涙した。
ついさっき、レーシングビュアーでレース映像を見て、また泣いた。
そのあと、YouTubeでフジテレビバージョンにも手を伸ばして、またまた泣いた。
自分はそれほど涙もろいほうではない。しかし、オグリキャップに話が及ぶと、キャラクターが崩壊する。
とりわけ、この1990年の有馬記念は、自分にとって特別なレース、特別な経験なのである。この先、有馬記念といえばオグリのラストラン、という図式は一生揺らがないだろう。
競馬バカでよかった。
オグリバカでよかった。
その気持ちに、嘘偽りはいっさいない。
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