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◇キングスエンブレムはヴァーミリアン
の弟ではなく、やはりクレイジー・エンブ
レムの息子だった。ウォーエンブレム産駒
は〝狂気の沙汰〟としか説明のつかない勝
ち方(負け方)をする。それがイカレたオ
ヤジの遺伝子のタマモノであることは言う
までもない。東京や京都でなく、小回り阪
神のフルゲート1枠②番。前が壁になり、
横にも行けず、下げることもできない閉塞
状況で、そのタマモノ、シルシ(徴、象徴
=emblem)がぶちキレる。九分九厘
とまでは確信できなかったが、85%くら
いの確率で惨敗シーンが見えていた。
◇キング(サンスポのコラムではキング
スと直されていたが、あくまでも王様・の
・象徴であって「王様の」で切るのはおか
しい。マック・ドナルドをマックでなくマ
クドで切るのと同じ感覚…なのかなぁ。そ
れともキングスのスは複数型なのか?)。
◇そのKings(王侯たちの、としよ
う)が気質による弱点、汚点を露呈するの
と同じ状況(1枠①番)で、シルクメビウ
スも、持ち前の追い込み一手の脚質によっ
て行き場を失い、脚を余したまま終わる。
これは九分九厘読めていた。◎トランセン
ドを負かしうる2頭が危ないなら、◎が勝
つ(楽に逃げ切る)確率は限りなく100
%に近い。頭は不動、あとは2・3着選定
で③1着固定3連単に8頭ものヒモを選び
ながら…⑭が抜けた。①②を無視(抜け=
無印)していレバ、もう一歩踏み込んでい
タラと後悔しても始まらないが、香港への
旅打ち資金に渾身の力を込めたGⅠだけに
情けなかった。
◇敗因は予想の形、定型をふまえること
を失念したところにあった。よくよく考え
れば、GⅠで1番人気馬に◎を打った記憶
はミスターシービーの菊花賞(1983
年)以来一度もない。本命馬を◎に据えた
ときの相手選びのスキルが習熟できていな
かったのだ。人気馬(とくに逃げ馬)が強
い勝ち方をするときには、人気薄の差し~
追い込み馬が漁夫の利を占める。本命を負
かしに行く先行馬や、自在性のある上位人
気馬が追走バテしたところに、そうしスト
レッチ勝負型の穴馬が突っ込む。この基
本、定型さえ思い起こしていれば、フツー
に当てられた3連単だった。穴馬から入る
ときの相手選びのノウハウが身に染みつい
てしまい、反射的、習慣的にヒモの序列を
決めていたのだった。
◇○ラベリータや★ダイシンオレンジと
いった先行タイプより先に、ドバイにも遠
征歴のある〝切れ者〟の切り込みに配慮す
べきだった。それが「本命予想」の基本で
あることは、元サンスポ本紙予想・西島大
和記者の◎△▲3連単的中でも証明されて
いる。しかしその西島キャップにして「3
連単どころか馬単も買っていなかった。買
えなかった。金がもたなかった…」と切歯
扼腕していた。おそらく初めからそれほど
気合いを入れて買うつもりがなかったので
はないか。本命党にとってもレースそのも
のが購買欲をそそるようなものではなかっ
たということか。
◇予想には型がある。たとえばフランク
永井の♪ABC~XYZ、それがおいらの
口癖さ~(西銀座駅前型)。人気馬(AB
C)から入るときの抜け目(XYZ)狙い
は理にかなった定型であり、XYZ(△)
によって高配当を拾った経験は山ほどあ
る。にもかかわらず、その形を思い出すこ
とさえしなかった。できなかった。なぜそ
れほど結論を急ぐ必要があったのか。
◇おそらく、一番人気馬から入るより仕
方のない、面白くも美味しくもない低レベ
ルのダートG1に、初めから食指が動かな
かったからだ。だから尻切れトンボのよう
な締まりのない予想になり、痛恨のしっぺ
返しを受けた。嘗めたらあかん、気を抜い
たら逆襲される。それが競馬であり、予想
であることを改めて思い知らされた。学ん
でときにこれを習う。また楽しからずやだ
が、少年老いやすく学なりがたしともい
う。日ぐれて道遠し。しみじみと。
◇ぐたぐたと愚痴をこぼしすぎて喉が涸
れた。ちょいと失礼おばいたします。プシ
ュっ(とPMモルツ)。→続く
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