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鈴木和幸のGI全馬調教診断 ~天皇賞(秋)~

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●第142回天皇賞(秋)追い切り診断

アクシオン      
10月28日 美浦芝 63秒1-48秒9-36秒0-12秒0 馬なり
    
栗東から武豊が駆けつけ、本馬場での追い切り。先行する2頭を14秒2、12秒9のペースで追いかけ、4コーナー過ぎで外から並んだ。ここまでの折り合いはピタリ、流れるように軽快なフットワークだ。結局最後まで追ったところなし、それでも直線の半ばでは並ぶまもなく前2頭を交わし3馬身ほど先着してのゴール。少しでも追えば大差がついていたろうし、ラスト1F11秒4、5は記録しただろう。それにしてもこんなにも気分よさそうに、鞍上との呼吸が合った追い切りは久しぶり。むろん、札幌記念3着時をしのぐデキ。

 
アリゼオ       
10月28日 美浦W 54秒1-39秒6-13秒6 馬なり
    
クビの高い走法、いつものこととはいえ、お世辞にも格好がいいとはいえない。それと今回はいささか気合の乗り過ぎで、鞍上は抑えるのに懸命、胸前にかなりの発汗があったことから、大外18番枠とあいまってレースでは引っ掛かりが心配される。動きそのものは力強く元気いっぱいなのだが…

 
アーネストリー   
10月27日 栗東坂 51秒9-37秒5-24秒7-12秒7 強め
    
札幌記念を勝ったが、このときの最終追い切りは函館のウッドで5F70秒9-40秒8でしかない。その点、今回は坂路で別掲の好タイムが出た。中間もウッドと坂路を併用し、時計6本の乗り込み。先週の坂路での50秒7-37秒6が事実上の最終追い切りなのに、感触を確かめた今週でさえこの時計。いかに元気がいいか、そしてレースへの意気込みがすさまじいかが伝わってくる。パワフルさのなかに柔らかさがあって、ここがこれまでとの大きな違い。悲願のGⅠ獲りに向けて一分のスキなく仕上がった。

 
エイシンアポロン  
10月27日 栗東坂 52秒4-37秒1-24秒4-12秒3 馬なり
    
引っ張ったきりで前走時を上回る好タイムが出た。さすがに上昇の3歳馬だ、疲れどころかさらに一段とよくなった。そして、掛かり癖を見せなくなった精神面の成長も目覚しい。これで先行して粘るだけでなく、瞬発力を身につければ鬼に金棒だが、まだそこまでは。

 
オウケンサクラ   
10月27日 栗東坂 51秒6-37秒3-24秒5-12秒5 一杯追
    
10月14日の秋華賞を使ったばかり、中1週でこれだけ追えるのだから、元気のよさは疑う余地がない。しかし、だからといって前走時との比較でここがよくなったというところはなし。前走着順と今回の相手大幅強化を考えれば、自ずと取捨の答えはでてこよう。

 
キャプテントゥーレ 
10月27日 栗東坂 51秒5-37秒4-24秒6-12秒2 馬なり
    
調教では常にきびきびとした動きを見せ、時計も出る。だから、この程度の時計は驚くに当たらない。50秒2ー36秒4-11秒8をマークした前走時があまりにもよかっただけに、今回はこれだけ動いても物足りなさが残る。決して具合が悪いというのではないのだが…

 
コスモファントム  
10月27日 栗東坂 55秒1-40秒0-25秒5-12秒5 馬なり
    
時計も動きも平凡。前2戦、交流戦で一応の成績を収めてきたが、大きな変わり身なしでは…。


ジャガーメイル  
10月28日 美浦P 50秒0-36秒4-11秒6 G強め
    
半マイルの短めだし、これくらいの時計にはなる。G前、強めに追われての反応もなかなかだったが、いっぱいの追い切りが先週の一本しかなく、中身が伴っているかどうかの心配がある。ここをたたかれた後のジャパンCの方がより走れる気がする。

 
ショウワモダン    

まったくの軽めで時計にならず。動きに硬さが残る。


シルポート      
10月27日 栗東坂 52秒4-37秒7-24秒7-12秒5 強め
    
時計的にはこれで十分だが、逃げ馬特有の乗り手を引っ張るような気合、気迫がなく、静か過ぎて見えた。先週の坂路50秒4をやっているのを加味しても上積みはどうか。

 
シンゲン       
10月27日 美浦W 65秒8-51秒9-38秒7-13秒4 直強め
    
あまり調教駆けはしない。今回のタイムも平凡だ。しかし、動きには活気があり、前走休み明け大駆けの反動は微塵も感じられない。先週併せ馬でビッシリ追い切ったのに、テンションが上がらず、落ち着いているのもいい。もちろん、レース当日のパドックのような発汗もない。昨年の2番人気5着のリベンジへ準備万端整った。

 
スマイルジャック  
10月27日 美浦W 71秒6-55秒2-40秒0-12秒5 直一杯
    
前半を抑えにおさえ、直線だけいっぱいに追った。その割にはラスト1Fが12秒5と平凡。道中の動きには硬さが残っていたし、好調時のうなるような気合も感じられなかった。横バイ状態。

 
スーパーホーネット 
10月27日 栗東W 96秒0-65秒3-51秒3-37秒7-12秒6 一杯追
    
ウッドの長め7Fから行き、直線の追い比べであっさり1秒以上の先着。この追い切りを見るかぎりは仕上がったように見えるが、何せ4ヵ月半の休み明け、中間、速いところの本数が足りていないので中身となると“?”がつく。11月21日のマイルチャンピオンシップに重きをおいているのではないか。

 
トウショウシロッコ  
10月27日 美浦坂 56秒0-37秒4-24秒3-12秒0 強め
    
3ヶ月の休み明けをすでに3戦した。とてもGⅠを獲る馬のローテーションとは思えないが、無類のタフネスさと、相手なりに走るのがこの馬の持ち味ではある。一応、3着候補の1頭には入れておいたほうがいいか。

 
ネヴァブション    
10月28日 美浦ダ 81秒6-64秒7-50秒1-36秒9-12秒2 仕掛け
    
前走時はあまりの追われての伸び脚のよさに、距離不足を承知で特注馬に取り上げたくらい。そのときと比べ、今回はよりリラックスさが増し、鋭さもアップし、ピカピカの毛づやが印象的。1Fの距離延長は間違いなくプラスだし、実績もある。今回も要注意の存在。

 
ブエナビスタ     
10月27日 栗東W 83秒3-66秒9-51秒6-37秒4-11秒7 直一杯
    
これまで、悪いと感じたことはないが、特別にいいと感じたこともないこの馬の追い切り。これくらいのレベルの馬になると、追い切りは普通にやれていればいいのだろう。しかし、今回の追い切りは違った。初めて“すばらしい”と感じた。追い出されると地を這うように重心を沈め、一直線の伸び、なんとラスト1Fはウッドで11秒7ときた。前を走っていた馬を抜き去るときの速さといったらまるで放たれた矢のよう。それでいて乗り手が止めに掛かるとすぐさまスピードをゆるめ、追い抜いてきた馬に抜き越えされてしまうほど、ムダな走りをしない。遠い昔、そんな賢い馬がいた、あの三冠馬シンザンである。いよいよ牡馬を蹴散らすときがきた。

 
ペルーサ       
10月27日 美浦芝 65秒2-50秒4-36秒7-11秒9 馬なり
    
ダービー、そして、毎日王冠と出遅れた。中間はゲート練習に重きを置いて、1週前の先週20日はゲートからの併せゲイコ。悪癖対策は怠りない。今週は安藤勝を背に本馬場での追い切り。時計はとくに速くはないが、これは馬なりに終始したから。大きな完歩でゆったりとしたフットワーク、鞍上との呼吸もぴったりとダイナミックに動いた。朝日に光り輝く栗毛の馬体はまぶしいばかり。普通にゲートを出られれば、アリゼオエイシンアポロンの3歳馬2頭に勝るとも劣らないレースができる。


ヤマニンキングリー 
10月27日 栗東W 81秒4-65秒6-50秒6-37秒1-12秒2 馬なり
    
中間3回の併せ馬を消化し、実にハードに乗り込まれている。おかげで今週は馬なりでこれだけの時計をマークし、動きも軽快、きっちり仕上がった。あとは能力が足りるかどうかだけ。  



鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

今もパドック党として最前線で活躍中。

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