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◆平成3年桜花賞についてJRAの成績
広報には「イソノルーブル右前肢落鉄、
11分遅延。」とだけ記されている。
しかしその11分間に起きた出来事は馬
の尊厳を重んじる欧米の主要競馬開催
国では起こりえない、悲惨かつ杜撰な
人災だった。
◆イソノルーブルは1番人気のシスター
トウショウの倍近い支持を得ていた。そ
の大本命馬が、馬場入りして間もなく落
鉄(右前肢)した。装蹄師が呼ばれ、打
ち替えを試みたものの、興奮状態にあっ
た気の強い牝馬は暴れて蹄鉄を打たせな
い。そうなると手に負えないことを発走
委員に説明した福留厩務員(=調教助
手)は、目と鼻の先に出張馬房がある、
そこの洗い場に張ればおとなしく打たせ
る、自分が付き添えばすぐ終わるから行
かせてくれ、と懇願した。福留が騎手上
がりの調教助手であり、毎朝の調教でも
ルーブルにまたがっている、馬を知り尽
くしたベテランホースマンであることを
現場職員が知らないはずもなかった。
◆京都競馬場の出張馬房(関東馬が事前
入厩したり、レース輸送されてきた馬た
ちが待機する)は1~2コーナーのすぐ
外側に密接している。調教のための出入
り口も、桜花賞(この年は京都開催)
のゲート(輪乗りする場所)からすぐの
ところにある。福留さんに説明されるま
でもなく、関東馬(菊花賞馬ホリスキー
など)の取材で再三その場を出入りして
るわれわれには往復で1~2分、鉄を打
ち替えても5~6分で戻れるという説明
は率直に理解できた。がしかしJRAは
その申し出をはねつけた。そればかりで
はない、「ならばせめて、もう一方(左)
の鉄も外させてくれ。そうしないと馬が
パンク(故障)してしまうかもしれない」
という涙ながらの懇願をも聞き入れるこ
とはなかった。そして11分後に、「そ
のまま発走させます」という場内アナウ
ンスが流れた。
◆左足だけ靴(シュー=蹄鉄)を履いて
まともな競走ができるか? 人間の陸上
と同等には語れないかもしれないが、上
滑りする稍重馬場での片鉄走行がどれほ
ど能力を阻害するかは、素人が物理的に
考えても察しがつく。案の定、いつもな
ら持ったままで楽にハナを切るルーブル
の背で、松永幹夫騎手が気合いをつけて
いる。4、5頭固まった先行馬群の2~
3番手にとりつくのが精一杯という苦境
にあえぎ、歯を食いしばって(?)ゴー
ルインしたときには,勝ち馬(シスター
トウショウ)に9馬身も突き放される5
着(6着馬とはハナ差)だった。
◆真っ先にエレベータに飛び乗り、脱
兎のごとくダッシュしてイソノルーブル
が引き揚げて来るのを待った。と、隣に
曳き手を握った福留さんが立っていた。
目が引きつり、顔がゆがんでいた。そし
て、前記のような一部始終を話し、被っ
ていたヘルメット(調教助手のそれは黒
色)を脱いで地面に叩きつけた。ビシッ
とひび割れる音がした。ほどなく馬が戻
ってきた。悔し涙をぬぐった曳き手を差
しのべ、ともかく無事に生還したらしい
愛馬に駆け寄る小柄な馬乗りの後ろ姿が目に
焼き付いている。
◆最終レースが終わってしばらくして、
記者会見が行われた。そのあまりにお役
所的な説明に怒りがおさまらず、福留さ
んから聞いた話をふまえつつ、もっと違
う対応、対処ができたはずではないか!
と食ってかかった(たぶん声が震えてい
た)。規則がどうの、施行規定がどうの
と杓子定規な弁明に終始するのを制し、
公正競馬とは何だ、落鉄した馬をそのま
ま出すことが公正競馬なのか、ファンを
裏切る詐欺行為ではないのか、本当に公
正を貫くなら装備不十分な馬は除外すべ
きではないのか、それをしないのは本命
馬絡みの売り上げ金の返還を惜しむから
だろう!
◆このとき口を挟んだN紙の松田某とい
う記者の言葉と態度は今でも忘れられら
れない。「でも、そんなこと言ったっ
て、終わってしまったものが元に戻るわ
けじゃないし、どうにもならないでしょ
う」。なんだこの野郎、それでも新聞記
者か。これは明らかに人災だ。それを追
及することは、動物虐待にもつながるこ
ういう不祥事を2度と起こさないためで
もある。馬無視、フアン無視、ホースマ
ン無視のJRAの体質、システムに問題
があることが分からんのか、クソッタレ
!!
◆渦中のイソノルーブル(本分を忘れて
「裸足のシンデレラ」などともてはやし
たアホなマスコミもあった)がオークス
を目指して府中入りした。追い日(軽め
に終始)の午後、出張馬房を訪ねると福
留さんが浮かぬ顔で、「だめや、飼い葉
食わんのや。環境が変わったせいもある
やろけど、桜花賞のダメージが尾を引い
とるのかもしれん。癇性のきつい神経質
な女の子やからなあ。たぶんダメやろ」
◆オーマイゴッド! 何でやねん。フク
ドメさん。飼い葉食わないヘロヘロの馬
に、なぜあれだけのファイトがありま
す。ケツから猛烈に追い込んだシスター
トウショウをハナ差退けた凄さ。あれは
いったい、何ですか?
「わからん。馬に聞いとくれ」
福留さんは新しい黒ヘルをなでつつ、
バツが悪そうに苦笑した。
◆7日の函館2歳Sにトラストワンとい
う黒鹿毛の牡馬がエントリーしている。
母イソノスワロー、その母イソノルーブ
ル。落鉄なんかすんじゃねえぞ。
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