グリーンセンスセラさんの競馬日記

「ノースヒルズ軍団」とは何者

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武豊も頭が上がらない?アウォーディー、ラニ、キズナ、ワンアンドオンリーらを送り出す最強の非社台系オーナーブリーダー・「ノースヒルズ軍団」とは何者だ?━ Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016年12月01日 12時30分00秒 http://biz-journal.jp/gj/2016/12/post_1955.html

今週行われる第17回チャンピオンズカップ(G1)に出走する注目の兄弟アウォーディーとラニ。兄アウォーディーはJBCクラシック(Jpn1)を含めダート戦6戦全勝と完璧な成績を残し、弟ラニは史上初の日本馬でアメリカ三冠すべてに出走し、ベルモントステークスでは3着に健闘した。まさに今のダート界を牽引する兄弟である。

 この2頭はともにアメリカで生産され日本に連れてこられてきたのだが、生産したのは北海道新冠にある生産牧場ノースヒルズのアメリカ拠点である「North Hills Management(North Hills Co. Limited)」。このノースヒルズは個人馬主としては日本で最大級のオーナーブリーダー(生産者兼馬主)であり、その活躍振りからも今や日本競馬にとってなくてはならない存在といえるだろう。

 このノースヒルズは1984年に前田幸治氏が設立したマエコウファームが前身となっており、1998年ノースヒルズマネジメント、そして株式会社に変更した2012年にノースヒルズへ名称を変更した。生産馬は国内3つ、そしてアメリカのNorth Hills ManagementとNorth Hills Co. Limitedの2つの名称があって少々ややこしいが、ここではノースヒルズとまとめておく。

 代表の前田幸治氏は大阪にあるアイテック株式会社の代表取締役会長。従業員は2000名を超え、官公庁の技術分野の下請けで大型プラントの設計、下水道に道路の保守、管理と様々な分野で活躍、安定した業績を上げているという。アイテックは1977年の設立なので、ノースヒルズはアイテックの7年後に設立されたことになる。

 このノースヒルズ軍団は京都馬主協会に所属し、多くの馬主名義を所有していることでも知られている。生産牧場でもあり馬主名義も持つノースヒルズ、代表の前田幸治氏とその弟の前田晋二氏、前田幸治氏の夫人である前田葉子氏、過去に宝塚記念を優勝したアーネストリーを所有していたアイテックの取締役である古谷道昌氏などだ。

ノースヒルズは北海道新冠の生産牧場だけでなく、競走馬の育成牧場「大山ヒルズ」を鳥取に開場し、ノースヒルズの生産馬以外にも競りなどで購入した馬を育成している。この大山ヒルズは栗東トレーニングセンターから3時間半で行ける好立地に加え、最先端の設備と技術が融合した国内屈指の育成牧場。先日の京都2歳ステークスを優勝したカデナも現在この大山ヒルズで来年のクラシックへ向けて調整されている。

 またアメリカでも「North Hills Co. Limited」を所有し、ノースヒルズで生産したヘヴンリーロマンスを置いて海外の種牡馬と種付けさせるなどその活動は日本にとどまらない。実際にアウォーディーもラニもそこで生産し、日本に逆輸入した馬。海外で生産するのはリスクもコストもかかるが、国内だけでなく海外の種牡馬と積極的に配合することで、新たな血を招き入れることになるのだから、これは素晴らしい判断といえよう。

 ノースヒルズはこれまでキズナ、ワンアンドオンリーと2頭の日本ダービー馬を生産しただけでなく、牝馬ながら天皇賞・秋を優勝したヘヴンリーロマンス(アウォーディー、ラニの母)、ファレノプシス(桜花賞・秋華賞・エリザベス女王杯)など多くの名馬を生産。その実績は社台グループにも決して引けを取らない。

 また外人騎手を率先して乗せる傾向にある社台グループと異なり、このノースヒルズ軍団は日本人騎手を主戦に置くことが多い。特に武豊騎手とはキズナで日本ダービーを優勝したほか、凱旋門賞でも騎乗させているし、ラニのアメリカ三冠もすべて武豊騎手が騎乗した。これが社台グループなら確実に外人騎手に乗り替わりだったはず。武豊騎手にとっては頭が上がらない存在といえるだろう。

 今年はノースヒルズ軍団の馬で68勝(11月27日現在・育成馬含む)、重賞12勝をあげて生産者リーディングは11位だが、2015年9位、2014年4位、2013年4位、2012年5位、2011年4位という成績を考える少々物足りないところ。

しかし、上位にいるノーザンファームや社台ファームはクラブ(サンデーレーシング、社台レースホース、キャロットファーム、シルクレーシング、東京サラブレッドクラブなど)に多くの生産馬を供給しているため生産馬の絶対数が多い。完全なオーナーブリーダーであるノースヒルズとしては健闘といえるだろう。

 今週行われるチャンピオンズカップはノースヒルズの傑作といえるトランセンドが過去に二連覇を達成したレース。新たなダート王の座にアウォーディーが君臨するのか、それとも弟ラニが兄の偉業を阻むのか、ノースヒルズ軍団が主役となるこのレース、歴史的一戦から目が離せない。

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